空の墓に捧げるローズマリー
謎の人物?
第1話
「焼き芋一本150円か……」
私はスーパーの焼き芋売場の前に立っている。
今日は別に焼き芋を買いに来たわけではないのだが、美味しそうだからつい見てしまった。買い物メモには白菜、ねぎ、しいたけ、鶏肉などなど。もちろん焼き芋なんてない。それでも目の前の焼き芋はおいしそうだ。念のためもう一度確認したが焼き芋は書いてなかった。
(5000円あれば足りるだろうか?いや……足りるとは思うが)
買えないことはないが、なんだか無駄遣いのような後ろめたさがある。しかし、悩んでも仕方がない。早く買い物を終わらせるためにも結局、買うことにした。
そうしてなんとか歩いて家に帰りつくと、玄関に何やら見慣れない靴が二足置いてあるのを見つけた。
「あら芙蓉、ようやく帰ってきた。あなたにお客様ですよ」
慌てた様子の母さんが廊下を走ってきた。
「買い物ありがとう。あとは私に任せておいてお客様のところへ行きなさい」
「お客様って?」
「芙蓉は知らなかったかもしれないけど、本家の人だよ。うちはその分家なの」
「本家の人?!」
「本家は陰陽師の家系だから今回いらしたのもその関係かもしれない」
「陰陽師だって?!」
陰陽師なんて漫画の中だけだと思っていたので、なんとも衝撃的な話だ。
「まさか私たちのような末端の分家に本家との関わりなんて一生無いと思ってたからわざわざ話さなかったの」
母さんは少し言葉に詰まりながらも混乱した様子で、慌てて話している。それに対し動揺しながらも何とか言葉を返そうとしたが、あまりに突然のことで何を話すべきかもよくわからない。
「とりあえず焼き芋がこの中に入ってるから」
急いで買い物袋を母に渡し、それだけ伝えて私は客間へと向かった。
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