第2話
「ノーマット殿下。また王妃殿下のお庭に入り込んでおられますの?」
「ア、アリエス。何でここに……!」
「何でって……。皆さま、本日は陛下の招集で御前会議が開かれましたのに」
心当たりがあったのだろう。
ノーマット殿下以下5名の親衛隊が一瞬で青ざめる。
「アリエス……御前会議は、その」
「すでに終わりましたわ」
「んっまああ! この世界は朝から会議するの? 貧乏人は朝早く起きて働かないと生活できないって言うけど。この国はそんなに貧乏なの? いやよ、私は遊んで暮らしたいんだから」
親衛隊は全員揃って二の句が継げずにいた。
この少女は御前会議を午前会議と勘違いしているのだろう。
「知ったかぶりは恥のもとですわよ」
「ひどいですぅぅぅ。ノーマットさまぁー、アリエスさまにバカにされましたぁー」
器用に涙付きで私を貶めようとする少女。
ノーマット殿下は困った表情で少女を抱き寄せると私に向き合う。
「アリエス、カナコはまだこの世界のことを何も知らないんだ。そんな厳しいことは言わないでやってくれ」
「ええ、言いませんわ。二度とかかわる必要がなくなりましたから」
「……え?」
ノーマット殿下がキョトンとした表情で私をみる。
「皆様、先ほど決議された内容をお伝えさせていただきますわ」
いまの私は満面の笑みを浮かべているだろう。
これを告げれば、今まで肩にのし掛かっていた不良債権を払い落として身軽になれるのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。