サンタ・デコルテ(5)(2023/12/20)

 今日も缶缶のラテを額にあてる。当然温まることはない。三田みつだに温まる身体などない。

 からっ風なんてなんのその。冷気がびゅおんと迸る。

 からっ風なんてなんのその。額の後退を気にする必要はないのさ。

 だから全力で、娘にプレゼントを用意できた。

 あの子の首にも焦点が合わせられているだろう。最初は奥さん。それから三田。絶対に絶対に嫌だけれど、その次はと考えれば、なにもせずにはいられない。たとえこの身がなくとも。踏ん張って、留まって。

 三田の娘は主人公なのだ。主人公のデコルテは絶対なのだ。

 デコルテだいじに。三田は言い聞かせるように呟いた。

 除光液にやられた爪がカサついている。これは妄想だろうか? 往相だろうが。


 なにはともあれマフラーは完成した。完全防寒、完全防ジン・・仕様である。

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