サンタ・デ・コル・テ(2)(2023/12/02)

 プレゼントはもう決めてあった。愛情込めた手編みのマフラーだ。

 平凡だぁ? ちっちっち。甘いな、と三田みつだは微笑んだ。なにせ三田の手編み。パパが大好きな三田の娘は、きゃあっと飛び上がって喜んでくれるはず。三田は妄想のできる男なのである。

「これ、パパがつくったの?」

「そうだとも。ひと編みごとに君への愛を込めたのさ」

「うれしい! ずっと、おばあちゃんになってもだいじにするね!」

 きゅっとマフラーを抱きしめて顔を埋める娘の姿は愛らしい。するとちょっぴりだけ意地悪も言いたくなるものだ。

「そんなに使ったらボロボロになっちゃうんじゃないか?」

「えっとね、えっとねぇ……まいにち、フワフワのおまじないするからだいじょぶだよ!」

 にやにや三田のできあがりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る