知人の俳優さんが可愛い同級生と訪ねてきました〜勝手に話が進み同棲生活が始まることになりました〜
夕霧蒼
第1話 来訪客①
「このクエストは難しかったな」
四月下旬。高校生に進学してから初めての祝日の日に勉強することもなく、リビングでアニメを見ながらスマホゲームをしていた。
誰もが『勉強しろ』や『友達と外出しないの?』と思うかもしれないが、俺はテスト前や宿題がない限り勉強はしたくない派だ。友達に至っては…まあいることにはいるけど誘われていない。
だからこそ、溜まりに溜まっているアニメを消化しつつ、高難易度クエストをやるのが一番の至福の時間になる。
「さてと、お腹が空いたし冷蔵庫でも漁りに行こうかな。 母さんが何かしら用意してくれているだろ」
このまま何もせずにダラダラしていたい気持ちがあったが、空腹には勝てずにキッチンへと向かうことにした。その途中、リビングにある時計を確認すると時刻は十三時半だった。
(アニメを見ていると時間経つの早いな)
キッチンへ着き、早速冷蔵庫を開けると中にはお茶と水のペットボトル、調味料や食材などが入っていたが、昼食は用意されていなかった。
「マジか…何も用意されていないのかよ」
ため息を吐きつつ、一番下の冷凍庫を開けた。
冷凍庫には小腹が空いた時に食べれるようにと大きな焼きおにぎりと大盛りカルボナーラの冷凍食品がストックしてある。これらは自分が好きな時に食べていいと言われていたので、俺はその中からカルボナーラを手に取り、昼食の準備を始めた。
慣れた手つきで電子レンジの準備をして、カルボナーラの袋を耐熱皿の上に乗せ、六分二十秒のタイマーをセットしてスタートボタンを押した。
待っている間もスマホゲームをしていたら、あっという間にタイマーが鳴った。そして音が鳴り止んだのを確認してから、中にあるカルボナーラの袋を取り出して、用意していたお皿に取り出してからフォークと共にリビングにある机に運んだ。
「いただきます」
食事の挨拶をした後、粉チーズを手に取りカルボナーラへと振りかけた。追いチーズは人によっては濃すぎて食べれないと言う人が多いが、俺は普通に食べれるので気にせずにどんどんかけていく。
納得がいく量になったのでチーズからフォークに持ち替え、そのフォークにスパゲティをくるくると巻き付けて口に運んだ。チーズが濃厚になってとても美味しい。
そしてアニメの続きを流しながら、俺はスパゲティをゆっくりと食べていった。
「ごちそうさまでした」
食後の挨拶をし、テレビで流れているアニメを停止させて、俺はお皿をキッチンへと運んだ。
その際、チラッと時計の方に目を向けると、時刻は十四時過ぎを迎えていた。
(遅めの昼食になってしまった)
そんなことを思いながらも、夕飯の心配をすることもなく、俺は黙々と使い終えたお皿を洗った。
そして全ての片付けを終えた俺はリビングの所定の位置に戻り、アニメを再生させた。
◯
あっという間に十七時半になった。
この三時間の間にやった事と言えば、アニメを六話程進めて、ゲームの方は育成素材を集めたくらいだ。
例え、実力テストや確認テストが明日あったとしても———特に問題はない。
だって、それらは成績に加算されないのだから、何も気にすることはない。
そのおかげで録画の容量はかなり復活したし、少なかった素材が溜まったからプラスだな!
そんな感じで自分を(無理矢理)納得させていると、手に持っていたスマホに通知が入った。
通知を確認をすると、母さんからの通知だったので、アプリを起動させてメッセージを確認した。
【山神さんが話があるらしいから十九時頃に家に訪ねてくるから部屋を綺麗にしておいてね】
———っは?!家にくるの!?
山神さんとはマンションの六階に住む俳優の仕事をしている知人だ。役者の時は九堂信治郎で活動している。小学生の頃はお仕事調査の宿題で助けてもらったりしていた。
そもそも山神さんと知人になったのは、マンションに引っ越しをしてから数ヶ月後だ。理由としても簡単で父親が山神さんと飲み会などをする間柄になり、自ずと家族絡みになっていった。
「それにしても、部屋を綺麗にするにしても…」
リビングを見渡すが汚れているところは一つも見つからず、お客さんが来ても問題はないほど部屋は綺麗に思えた。
「よし、掃除しなくても大丈夫そうだな」
そもそも母さんの言う『部屋を綺麗にして』はリビングだけの話だと思うから、他の部屋の掃除は関係ないはず……絶対に関係無いはずだ!!
とりあえず一段落着いたと思うので、俺は両親が帰ってくるまでソファーに座ってゲームをすることにした。流石にお客さんが来るギリギリまでアニメは見ることは出来ないからね。
そんなこんなで十九時になった。
すると玄関の方から鍵を開ける音が聞こえ、鍵を開け終えると扉が開く音が聞こえてきた。
「「ただいま」」
「お邪魔します」
両親の声と山神さんの声がリビングに響いた。
(両親が一緒に帰るの珍しいな)
普段は母さんが先で父さんが後の順番に帰宅するのだが、今日に限っては一緒に帰宅だ。
(何かあるのか?)
そんな疑問を思いつつも、俺はソファーから立ち上がり玄関へと向かった。
「………えっ?!」
玄関に着くと、母さんと父さん、そして山神さんがいたのだが、その後ろには———
「霧宮…さん?!」
同級生の|霧宮飛鳥〈きりみやあすか〉がいた。
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