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 虻川には2つになる娘がいるらしい。名前はてぃあら(漢字はわからない)というのだそうだ。結婚相手は高校の同級生だとかで、写真を見せてもらったがけっこう美人だった。


「えっお前伊藤と結婚したのか!? まじで!? じゃあ中学のときの噂、マジであったんだな」

 中学のころの噂、と言われても、当時はただの友達で、秋田県が異世界サ転移してしまったゆえに諸事情あってこうなったのだ、と説明する。


「それでもすげーよ……伊藤かあ……いまも壇蜜似なんだか?」


「怖い母さんになった。完全に尻に敷かれてら。顔は相変わらず壇蜜と佐々木希の中間だ」

 あかりは中学のころ「高嶺の花の伊藤さん」だったので、虻川にはそのあかりが怖い母さんをやっているのが想像できないらしい。あかり本人から聞いたのだが高校のときも「高嶺の花の伊藤さん」だったそうなので、素の顔を知っている俺のほうが珍しいのだろう。


「……おしゃべりはこれくらいにするべし。向こうから来たど、『悪魔のオモチャ箱』が」

 虻川の言葉に顔を上げる。わりと小さめの「悪魔のオモチャ箱」が、ぴょんこぴょんこと現れた。武器をとる。「悪魔のオモチャ箱」は、「しゃげーっ!!」と鳴いた。


 ガキィン! ボコッ!

「ぴぎい」と悲鳴を上げて、「悪魔のオモチャ箱」は倒れた。ちょっとレベルが高かったらしく、人生ゲームをドロップした。異世界攻略本を書いていたころは気づかなかったが、現実世界の最新のおもちゃもドロップするらしい。しかしこれでは俺も虻川も持っていけない。次を探す。

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