謎の能力者登場
Qが首相を人質にして世界侵略を推し進めていく中で、多くの組織や団体が抵抗を見せていった。政治組織、倫理団体。
だが同時に賛成派も多く居たのだ。大勢の国民は罪を犯した事がないので、自分たちにとって、Qという存在はマイナスではなかったのだ。
そして警察側はかなり曖昧なポジションを取っていた。彼らはQに対して表面上は賛成する姿勢を見せていた。そうしなれば殺害される可能性があるからだ。だが同時に、彼らの多くは内面では否定していた。
警察に勤務している者の中で幾つかの人間が辞めていく現象も発生した。これも考えてみれば当然だった。警察の組織に身を置くというのはQに歯向かうという危ないラインに立っているのだから。
そこで警察側の内なるQ否定は、秘密裏にQ捜査本部を組織するということによって結晶化された。こうすれば、Qの監視からも逃れて、Qという犯罪者を捕まえていけるからだ。
メンバーの選定は、内密にそして多大な注意を持って行われた。全体の数は数十人程度。数よりも質を求めたのだ。
「これから、捜査本部を結成する」
そして事件の数日後、謎のEQ200の天才であるQと名乗る犯罪者に対して、専門の捜査部が創設されたのだ。京都府警のメンバーが構成員となった。
だがしかし、捜査はもちろん進むことはない。犯人はどこからでも人間を操作して、殺害を行う事が出来るからだ。こちらから一体どうやって追求してけばいいのだろうか。
Qの能力。それは傍目から見れば、神の手であり、神の行為である。よって犯人は神である?
ただただ秘密警察側はさらなる犯人の動向を待つしかなかった。これから見せる犯罪によって、何か犯人に繋がる糸口が見つかるかもしれない。
今日もいつものように登校。
教室に到着してから席に着席。鞄を机の横に引っ掛けてから、スマホを取り出す。そしてスマホの画面を首相官邸に切り替える。
世界侵略は順調に進んでいる。既に超日本列島は完成に近づいて、IRは極限にまで性能を引き上げられていく。元来日本は土地が狭くどうしても軍事力に欠けていたのが、これでまさに超日本になろうとしているのだ。
次に画面を警察署に切り替える。
「Q捜査本部……?」
どうやら京都府警察署では秘密裏に捜査本部が設立されたみたいだ。既にQを捜査しようとする動きが活発に見られる。
が。別にそんな事をしても愛九が逮捕されることはあり得ないので、特に気にすることもないだろう。だから愛九は別に気にしてもいなかった。
さらに時間が経過して、一限の授業を迎える。
今週から期末試験が始まるために、授業はさらに苛烈になっていく。生徒達もそれに応じて、いつも以上に緊迫している様子だ。
だがしかし愛九は既に予習済みだ。
なので、いつものように自分の父親を操作し始めようとすると、
「あれ、どういうことだ?」
何故か木戸首相の身体を操作できなかった。何度も能力を発揮しようとしたのだが、それでもうんともすんともしないのだ。
すると僕の父親である彼から衝撃的な発言がなされた。
「私は、」
「!?」
誰だ!?
僕は思わず心で叫びを迸らせた。
もしかして、僕以外の誰かが首相を操っているとでも言うのか。そうに違いない。なぜなら僕は彼の身体に乗り移ることが出来ないから。
ここで自分の能力についての新たなる事実に気づいた。それは誰か他の能力者が使っている時は、その人間以外は使用できない。
おそらく能力者に対しても直接能力を発揮することも出来ないのだろう。だからもし他の能力者と出会ったも、直接彼らを死に至らせる事は出来ない。
そんな事に思考を巡らせていると、さらに首相の口から発言が零れていく。
「まさか、私以外にも他人を操る能力を持っている人間がこの世界にいるとは、驚きました」
「能力……」
こいつ。知っているのだ。
「な、何が起きているんだ!?」
朝の首相スピーチを視聴している国民は、驚愕していた。
首相がまた他の人物から操作されて、意味不明な単語や概念を口走っているのだ。能力、操る、それらはフィクションの世界でのみ使用が許される夢物語専用の特許権だ。
にも関わらず、あたかもそれらが本物であるかのように、いいや、こうやって画面の向こうで操られているという事実は確実なのだから、それらの概念が本当である事は疑いようのない事実であろう。
呑み込みにくい圧倒的な事実を目の前に、視聴者とともに愛九は、ただ首相から放たれる言葉を待っていた。そして望み通りに謎の人物は語り続ける。
ぷつん!
すると突然、さらなる出来事が発生した。
テレビ画面が切り替わったのだ。それまで首相官邸からの放送だったのだが、今では地方局の報道番組のような画面になっている。
出演者は二人。一人はテーブルの前にある席に座って、発言している人間。そしてさらにその後方には護衛だろうか、銃を持った人間が立っている。
「貴方は大変な罪を犯しました。能力を使って、人を殺したのです。例え、彼が罪深き人間であったとしても、それが罪である事には変わりません」
「く、くそ……!」
「どうしたの、愛九君?」
愛九は激怒した。憤怒したのだ。そして激昂もしたのだ。
殺してやる。
本能的に誘惑されて、画面越しの人間に視線を移動させた。発言者には能力は効かなかった。もしかすれば、こいつが能力者である可能性はある。
もちろん可能性は低いだろう。だがしかし可能性はゼロであるという証明ができないという事も同時に事実である。
「こ、殺してやる……」
それならば一縷の可能性に託して、後方の人間に乗り移って、この司会の奴を殺害してしまえば。そうすれば僕に歯向かうこの愚かな人間を捻り潰すことが出来る。
「いいや、出来ない……そんなリスク、犯せるわけないだろう……」
愛九は力強く拳を握りしめて、裂帛なる自制を強いられた。
愛九は己の猛烈なる感情の津波に飲み込まれる事に抵抗した。彼は正義を信じて、正義を生きて、人類に究極の正義を実現しようとしているのだ。
果たして、自分の利益の為に人を殺害するのは許されるだろうか?いいや、それは罪だ。果たして、罪を犯す人間が、人の上に屹立して良いだろうか?いいや、そんな奴がリーダーになる資格はない。果たして、精神と行動が一致していない人間が、人類を真の幸福に導くことは出来るだろうか?いいや、それは夢物語だ。
「……」
だから、愛九は絶対にリスクを犯すことは出来なかった。それは激甚なる決意だった。彼は絶対に罪なき人々を傷つけることはしないと誓ったのだ。
何ら行動を起こすことも出来ずに、ただそのまま画面に釘付けになっていた。
「私の天才的なIQにかけて、約束しましょう。私は貴方を絶対に見つけ出して、正義を下すことを」
けったいなスピーチが終了すると、画面が元の首相官邸に戻っていった。僕の父親は自由になった。自分に乗り移りすることが出来る。
「ど、どういうことだ……?」
僕は困惑の極みの最中にいて、ただただ呆然とした。何もすることが出来ずに、ただスマホに視線を注いでいたのだ。
「駄目だったか……」
だがしかしながら同時に、サイも少しばかりの動揺を覚えていた。サイはある程度、想定していたのだ。Qなら能力を使って囮である私を殺そうとするだろうと。
「やはり、こんな単純な脅しでは、彼には通用しませんか」
ポツリと呟いてから、サイは別の作戦に移行する為に指示を出した。
「それでは次の計画に移ってください」
「はい」
Qの居場所を突き止めなければ、事件は解決されないのは自明の理。ならばどうやってQの居場所を特定するのか。
最終的に生み出された結論は、以下なるものだった。
全国のテレビ局と警察署の力を合わせて、偽の事件を発生させるのだ。日本列島の端から端まで時差を加えながら、地元のニュースを報道する。こうすることで、Qの豊かな感情を起伏させ、事件を画面越しに解決させる。もし上手く引っ掛かれば、一気にQの居場所を特定することが出来るというわけである。
数時間後。
「愛九、本当にいつも助かるぜ」
「別にいいんだ、僕は綺麗好きだから」
今日一日の授業は全て終わり、生徒達はホームルーム前の清掃の時間に入っていた。
生徒の殆どは清掃に対してやる気などは特になく、だらだらとしている。たまに教師が通れば、少しだけやる気を見せるぐらいだ。愛九達のグループはトイレ清掃を任されている。
だが一人だけ常に清掃を熱心に行う生徒の姿があった。愛九だ。彼は生徒会長でもあり、同時に世界侵略を進めている犯罪者でもある。
「凄いよね、愛九君って。いつも自分から率先して汚いところを清掃していくんだから」
「生徒会長なのにね」
「かっこいい」
という周囲の生徒達の意見。
愛九はトイレ清掃、特に便器清掃に必死になっていた。
「くそ!」
愛九は頑固な汚れが取ることが好きだった。そして学校という一つの環境が浄化されていく過程がたまらなかった。
「ほら、僕たちも見習おうぜ」
「ああ」
「うん」
という周囲の下級生たちの声。
「愛九、あいつ掃除好きとか、変わってんな」
「変なやつ」
「面倒だし、適当にやろうぜ」
だが他の生徒は愛九の行為に特に触発はされることはなかった。
だが愛九は、そんな生徒達には目もくれず、
「くそ!どうしてこの汚れが取れないんだ!頑固な汚れめ!」
便器にこべりつく頑固な汚れと悪戦苦闘していた。
その時だった。
「緊急ニュースです。先程、京都府京都市で――」
「え?」
突然、緊急ニュースが流れた。どうやら日本で犯罪が起きているらしい。場所は京都市内、つまりかなり近隣である。
「緊急事件……?」
清掃を中止してスマホを取り出す。ニュース番組を開き、さらなる情報を追求していく。事件は産業ロボットIRの操縦者であり、犯人は高層ビルを人質に取っている。
犯人は100億円を要求し、もしその要求に応じないならば、すぐに高層ビルをIRで粉砕するつもりらしい。
「くそ、一体警察は何をしているんだ!」
僕はトイレ清掃を再開させながら嘆いた。
警察は未だに動きを見せない。このままじゃ事態は悪化していく一方である。もし犯人がIRを使って高層ビルを破壊しようとしたら、甚大なる被害が出てしまう。
どうやら自分から事件を解決させるしか手はないらしい。
「それでは上空からの映像です」
ニュース番組の中で幸運にも、上空の映像とともに、緊急ヘリコプターの映像が流れていた。
最悪な状況だった。というのも犯人はIRに乗車しているのだが、操縦席を外から覗かれないようにと、特殊加工を施しているのだ。
明らかにQ対策という事らしい。これじゃ、犯人を直接操作して事件を解決しようとしていた愛九は手も足も出ない。だが方法はないわけじゃない。
「只今、迅速に警察が事件の方向へと――」
さらに映像がヘリコプターの操縦席の人間にフォーカスしていくと、愛九の視線は彼に注がれた。
操縦者の人間に乗り移ると、愛九は容赦をしなかった。
ただのヘリコプターではなく、軍事的に使用される攻撃用らしい。ミサイルとマシンガンが搭載されており、事件解決にはもってこいだ。
IRを使った悪質な事件現場に接近していく。
「落ちろ!どうして落ちないんだ!」
愛九は、便器の汚れはただゴシゴシするだけでは駄目だと判断した。
清掃用具入れから専用の溶液を取り出して、それをブラシに垂れたのだ。かなり強い酸性なので、これで便器の頑固な汚れも落ちるはずだ。
愛九の操作するヘリコプターが事件現場である高層ビルに到着した。
同時に軍事用ヘリコプターは、産業用のIRに対して早速攻撃を行った。マシンガンを犯行中のIRの両足に連発させていく。弾丸は全てIRの鋼鉄の部分に命中して、犯人はIRごとバランスを崩した。
「うわあああ!」
突然攻撃された犯人は操縦席で叫びながらも、何とかバランスを保つ。
「よし、これで綺麗になるはずだ」
同時に愛九はブラシを便器に押し当てて、ゴシゴシしていく。
「喰らえ!」
さらに愛九は操縦席にマシンガンを数発だけ放った。透明色である特殊加工されたガラスは粉砕されて、ようやくIRの操縦席が外に顕になった。
操縦者が見えるので、愛九はニュース画面に視線を移動させた。ニュース画面は上空のヘリコプターからの俯瞰的な映像であり、そこには犯罪者の顔をも視認することが出来る。
なので愛九は遂に、犯罪者を視界に捉えたのだ。
犯罪者に乗り移った愛九はそのまま産業用IRを操縦していく。先程まで高層ビルを破壊しようとしていたのだが、IRごとそこから離れていて、ある程度安全な場所まで移動すると、IRから犯罪者を降ろさせ、そこで操作終了した。
「お、俺は何をやっていんたんだ……?」
犯人は突然意識を奪われたので、まるで夢でも見ているような、そんな経験をしていた。
「警察だ!無駄な抵抗をせずに、降参しろ!」
「え……?」
だが意識を取り戻すと、既に警察から周囲を取り囲まれていた。
事件は事なきを得た。あのままだと、一体どれだけの被害が出ていたのだろうと、想像するだけでも戦慄してしまう。
「よし、おちたぞ!」
愛九は便器清掃を終えると、異様な安堵を覚えた。
便器は陶器のように純白であり、これからお手洗いを使用する人も清々しい気分で用を足すことが出来るはずだ。やはり清掃は素晴らしいものだ。
「やっと学校が綺麗になった……」
と恍惚になっていると、お手洗いの入口から一人の生徒が愛九に呼びかけてくる。
「あの、愛九生徒会長、これから終会のスピーチがあるんですが、掃除はまだで終わらない様子ですか……?」
「え?」
そう話しかけられて、ハッとした。時計を見ると既に時刻は、清掃時間を大幅に越えて、終会の時間になっていたのだ。はやく移動しなければ。もう全校生徒は清掃を終えて、体育館に移動中である。お手洗いの外からは一斉に足音が流れてくるではないか。
「ああ、そういえばそうだったね」
愛九はあまりにも清掃に熱心になっていたために、これから体育館で生徒会長としてスピーチが予定されているということも忘れていた。
「今すぐに向かうよ」
清掃が終わるとスピーチの為に、体育館に小走りで向かっていった。
「くくく……Qめ、まんまと罠に引っかかったな……」
その時、サイがほくそ笑んでいた事を、愛九は知る由もなかった。
数日後。
警察署内部に外部からのアクションがあった。
それは他でもサイからのメッセージだった。彼いわく、Qという人間は超人的な能力を有してそれを使っているということだった。
サイが直接警察署に姿を現すことはなかった。
そこでサイは遠隔通話という形で警察署内部との連携を取っているのだ。一台のパソコンが机に置かれて、そこから意思疎通を行う。さらにはサイは顔すらも見せない。
「私は既にQの居場所を、突き止めました」
「なんだと!?」
それはQの仔細な居場所を特定したというものだった。彼は我ら捜査本部のエリアに住んでいるという。
絶好のタイミングであった。数日前に捜査本部が設立されて、最初から捜査に停頓していたのだ。これで捜査は大きな跳躍を見せていくだろう。
「Qは今、京都府の京都市に住んでいることは確実です」
「ど、どうしてそんな事まで分かるんだ」
あり得ない、と思いながら、捜査本部の人間が訊ねた。
「あるトリックを使ったんです。覚えているでしょう、先日発生したIR事件の事を」
「ええ、それがどうしたんですか?」
「あれは私が仕組んだ犯行なのです」
「!?」
捜査員達は度肝を抜かれた。
サイ自身の声かどうかも判断できないまま、彼が指示を出した。
「まず初めに、警察署内の監視カメラを全ての電源を切ってください」
いきなり謎の指示が下されたので、秘密捜査のメンバーたちは説明を希求した。
「それは一体どんな意図があるんだ?」
「Qという人間はカメラを通じて人間を操作できるはずです。もしカメラが設置されているままならば、そこから容易に警察署内部に侵入できる」
「なるほど……」
そこまで説明がなされると、急いで彼らは警察署内部のカメラを探し回った。監視カメラを全て無効化して、警察署内部は一応安全性を確保した。
「能力ねえ……?」
サイの口から発せられるフィクションのような用語たちに、ただ困惑した。それもそうだ。いきなりこれまでの人生では見たことも聞いたこともないそんなSFのようなものを。
「私にも特別な能力があります。それは能力者の目を見分ける事が出来るというものです」
「馬鹿な……」
捜査本部の人間は信じることは出来なかった。
「しかし考えても見てください。Qは能力を使って人を操り、そうして人を殺しているのです。貴方方も既にその光景を何度も目の当たりにしてきたので、理解することも難しくないと思います」
「そ、そうですが……」
と言われても、やはり明確に断言されると抵抗もある。だがしかし、あれは能力という概念が無ければ説明が出来ない。
「警察署内部のカメラ映像が、使えない……?」
授業中、いつものように日本を監視していると、愛九は異変を発見したのだ。
京都府警部では秘密警察の結成が行われているということは既に把握していた。Qに対して疑問を抱く有志者が集まり、追求していこうとしているのだ。
だが愛九はそんな秘密組織に対してあまり関心はなかった。なぜなら愛九は絶対に捕まらないと自覚していたからだ。犯罪はいつどこでも可能であるので、警察側のあらゆる努力は無意味であると確信していた。
だがここに来て一つのイレギュラーが発生した。
サイと呼ばれる謎の能力者である。
もしかすればサイは警察側と結びついて、連携しながらQを追跡することだって有り得るのだ。そうなれば事態は大きく揺らぎを見せる。もちろん、愛九が逮捕される可能性も出てくる。
「どうするんだ……?」
愛九は落ち着きを失っていた。
謎の能力者サイに対して完全に遅れを取っていると考えたのだ。既にサイはQが京都府京都市に在住していると把握しているのに、愛九はサイに対して何ら有益な情報は入手していない。
愛九はいつも通りに頭の中でシナリオを紡いでいた。
どうすればサイを出し抜けるか。どうすればこのまま世界侵略を続けていけるのか。
そして愛九は完璧なる物語を生み出したのだ。
「なんて美しいストーリーなんだ……」
愛九は自分で生み出したシナリオに対して嘆声を漏らした。
全ての感情を操るEQ200の天才なので、あらゆる状況に於いて、美しい物語を紡ぐことが出来るのだ。だが、その物語の悪役には醜いエンディングを用意していた。
しかしここで問題が一つだけ浮上。
「それでは来週から期末試験があるので、しっかりと勉強に励みましょう」
教師は予告した。
「ああー最悪だよ!」
「もう、受験とかなくなればいいのにな!」
「勉強とか、だるー!」
期末試験の予告はこれが初めではないのだが、教室中は騒ぎ出していた。気持ちは良く分かる。テストはただだるい。
そうだ。サイを見つけ出して殺害する必要があるのだが、来週から高校で期末試験が始まるのだ。もちろんだが、学業を疎かにして、世界侵略を進めるというのは愛九の理想ではなかった。
愛九にとってリーダーとは、理想と行動が結び付けられなければならないのだ。心と身体。自分に対して厳しくない人間が外見だけを見繕って良いのだろうか?いいや、そんなわけはない。自分に厳しく、そして初めて、相手にも厳しく接するという権利を獲得するのだ。
という事で愛九は、怠惰な道に殉じる事もなく、むしろ、勉強にもさらに力を入れて、サイを殺害する事にも尽力していくのだ。
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