2023-12-02

 花が咲いている。美しければなんでもいい。とにかく、美しい。でも、僕はそれになろうとは思わない。

 どうして僕は美しくなろうと思わないのだろう。それは多分、醜くなりたくないからだ。僕もヒゲを剃ったり髪を整えたり顔を洗ったりはするけれど、それは美しくなろうとしているのではなく、せめてもう醜くならないための所作だ。醜さの抑制と美しさの追求には大きな距離がある。

 美しさの追求には、しばしば醜化が伴う。流行についていけていなかったり身の丈に合わなかったりして、美しくあろうとする人の方が醜いことは往々にしてある。僕は、これを非常に恐れているから、変化を拒む。

 これは容姿に限らず、精神性においてもそうだ。僕は醜いものとしての精神性を貫きすぎて、良い変化すらもおずおずと辞めてしまう。僕がそうじゃない、そうじゃないと言い続けているのは、せめて少しでも醜く見えないようにしているからだ。

 僕は、僕以外のものになることにひどく怯えているんだと思う。今の僕の考えを絶対視しているがために、僕が変わってしまって自分は間違っていたと思うことがとても怖い。僕は醜い存在として長く生きすぎてしまった。

 歩いていれば目的地から離れる道を通ることもある。美しくなるためには、醜くなる覚悟を持たなければならない。ピアスをつけるためには、穴を開けなければならない。

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