あのVtuber、半分俺の妹。~とあるVtuber誕生記~

葵葉みらい

プロローグ

一通のメール

『妹を救出せよ』


 7月、夏休み前のある日。母親から一通のメールが届いていた。


 そんな突拍子もないメールが送られてきた意味を、その時の俺は理解できなかった。その真意を推測できるほどの情報を、持ち合わせてはいなかった。


 ――自分の妹がVtuberになろうとしている――


 この時の俺は、そんなことも知らず、ただのうのうと生きていた。妹のことをわかったつもりでいて、実際は妹の好きなものも知らず、夢や憧れも知らず、Vtuberのことも知らず……何も知らずに生きていた。

 

 これから俺が語るのは――冴えない一人のオタク少女が、とあるVtuberになるまでの物語である。

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