第23話
イライラする。どうって事ない些細なことが原因で。いつもなら流せるのに、小さな事が積み重なってイライラする。心の中で暗い渦がトグロを巻く。波動が重くなっちゃう、と頭では考えているけどとめられない。
あー、もう!!
「すみませんが時間が過ぎましたので…」
「え!いま時計が鳴ってる最中なのに…!?でも、ネットで受付していて…」
「すみません、少々お待ちください。聞いてみますので」
冷たい、嫌な感じの対応。さらに私はカッとなる。
こどもの都合でやって来た病院、いろいろあってギリギリになってしまった。ギリギリアウト。
強い言葉が出そうになった所をグッとこらえた。こどもの前だ。
涙が出そうになる。あの時信号で止まらなければ、あの時道を譲っていなければ…。
今日はただでさえイライラする事が多かったのに、どんどん暗くて汚い闇に落ちていく。
コホン、とこどもが咳をして我に返った。
私、息を止めていた。身体中に力が入って、顔が熱く頭がガンガンする。
とにかく息をしよう、しっかり意識して。
小さい声で大丈夫、大丈夫。と呟いていると少しだけ落ち着いてきた。
大丈夫、大丈夫、私はツイてるし。大丈夫、大丈夫。と唱えながらしっかり呼吸。
すると先ほどと違うスタッフが出てきて、「順番は最後になってしまいますが大丈夫ですよ、お待ち下さい」と優しく案内してくれた。
最後かー、とがっかりしたが気を取り直して待合室の椅子に座る。
一旦汚い気持ちを吐き出したくて病院の口コミに悪口をたくさん打ち込む。そして読み直した後、深呼吸して投稿しないまま削除した。
でも時間が過ぎました、残念でした。じゃなくて最後になっても見てもらえるんだからよかったよ、うん!とポジティブに思っていたら、あっという間に人がいなくなり、こどもの番になった。それにしても早すぎる…。もしかして違うパラレルにきてしまったの…?それか現実を作っちゃったのかも!
「早くてよかったね!」とこどもと言って診察室へ入る。
大丈夫大丈夫!私はツイてる!と心の中でつぶやきながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。