第3話

CMの後はこどもへの虐待についての特集だと放送され、テレビを消した。

近頃もっぱらYouTubeばかりついているテレビなのだが、天気予報だけは地上波でチェックしている。

スマホでも天気はわかるのだが、地方番組の天気予報だと現在の雲の様子、花粉とPM2.5、洗濯物の乾きやすさやオススメの服装などなど、住んでいる地域のピッタリな情報が手に入る。

ただ私にとってネックなのは天気予報の前後で暗いニュースがあっていると私まで暗い気持ちになる、ということだ。

だいたい天気予報が始まる時間は把握しているが私もピッタリその時間にテレビをつけたり消したりできるわけではない。

面白そうな内容だとそのままつけていたりする。


すでにたった数秒流れた映像で暗い気持ちになりそうだった。特にこども関連は私にとって心を重くする内容だ。

ふーっと息を吐いて窓の外を見る。

お気に入りの花や木を植えた広い庭、何年も手入れをして季節ごとに素敵な花や実のなる自慢の庭になった。

仕事が楽しく一生懸命だった私が周りより遅く結婚し、すぐに家を建てた。二人には大きい家だ。


虐待するような人の所にどうして赤ちゃんは行くんだろう?自分で選んでいるらしいけど、本当に謎だ。

不妊治療をやめて数年経つ。治療をやめたら妊娠した、なんて話もよく聞くが私には縁がなかった。

執着しすぎたからなのかな。していないつもりだったけど執着してたもんな〜、なんだったら今だってまだ未練があるし。

執着を手放すなんて難しい。何度も何度も手放しのワークをしてるのに。

最近では手放すことを手放してしまっている。

地球に生きてるんだもん、そうそう簡単に手放せない。仕方ないよね。これも経験。うん。

この先徐々にこどものことを考える時間が少なくなって、思い出しても落ち込むことがななくなり、いつの間にか執着もはずれるだろうか。だけど執着がなくなっても決して忘れることはなくて、ずっと心に在り続けるだろう。


そういえば今日は夕方から雨が降るらしい。朝のうちに洗濯物を干してしまおう。そしてコーヒーを飲みながら、YouTubeで占いの動画を見ようっと。きっと素敵なメッセージがあるはず。うん。今日も良い日だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る