第2話

 私は余程の事がない限り事務所には入りたくない。

 なぜなら、事務所の中では女性社員達がそれぞれの派閥を作り毎日バチバチと聴こえてきそうなくらい睨み合ってるからだ。


 なぜそんなことになってるかは分からないし、知りたくもない。

 そもそも求人にはアットホームな会社です。って書いてあったが、完全に騙された。

 我が社はアットホームなどとは程遠く、また可愛い女性社員とランチや社内恋愛とかいう夢や幻想も抱けないような会社である。

 可愛い女性社員なんかいない、おばさんだけだ。



 毎年何人か、面接にやってくる。事務所の雰囲気に圧倒され採用通知を貰っても入社初日から来ないことはザラである。それでも出社してくるのは一握りの存在だ。

 入社日に来ないのを「またか」と言えるのは我が社だけだろう。なんなら社員同士で来るか来ないか賭けてる奴らもいるくらいだ。私も大抵来ないことに賭ける。誰もが社員が増えて一人一人の仕事の負担が減ることに期待していないのだ。


 これも我が社の伝統である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る