謁見
「「「うわぁ……」」」
王宮の前に着いて、俺らはそう自然に声が出た。
「凄い大きな王宮だなぁ……」
「外観も非常に綺麗ですねぇ……」
「な、なんか良い香りもしますっ……!」
そして俺らは王宮の門の前まで歩いて行く。
「止まれ」
門番さんにそう止められた。
「ここから先は一般人は立ち入り禁止だ、何か様か?」
「えーと……俺らはウィーラーチ様に呼ばれて来たんですけど……あぁこれ冒険者カードです」
そう言って俺は冒険者カードを門番さんに渡す。
「ルイド・アッカーサー……ルイド様!?」
「!?」
ル、ルイド〝様〟!?
なんで様付けなんだよ!?
「つ、つまりそこのお嬢様方は……」
「エリシア・ローゼリッタと申します」
「ラ、ラルム・レンスと言います……!」
「ル、ルイド様御一行でしたか……! これはとんだご無礼をいたしました」
な、何だこの手のひらの返し振りは……。
「少々お待ち下さい」
門番さんが王宮へと歩いて行き、近くにいた兵士さんを呼び止めてその兵士さんに俺らの案内を頼んだ。
まあ自分は門番の仕事があるから仕方ないね。
「どうぞこちらへ」
案内を頼まれた兵士さんに俺らはついていく。
王宮内へ入ると、とてつもなく豪華な内装が見れた。
「ルイド様っ! 内装がすごい綺麗ですよっ!」
「……いやほんとに凄いなこれ……」
白が基調とされた壁に、綺麗な大理石の床。
そして壁には美しい直線が一定間隔で描かれていてまさに王宮と呼ぶ感じの建物だった。
「ラルムはこういう所好き?」
「はいっ! こういう豪華な場所に住みたいくらいには好きです!」
「あはは、じゃあ頑張って冒険者ランクをSにしないとだなー」
「頑張ります!」
そんな会話をしながら俺らは長い道を歩き、大きな扉の前にたどり着いた。
扉の前には、兵士さんが二人立っている。
多分、この先に六王が一人、ウィーラーチ・ヴァ・アーストリアム様がいらっしゃるのだろう。
「ルイド様御一行様がいらっしゃった! 扉を開けよ!」
二人の兵士さん達はコクリと頷くと、ゆっくりと扉を開け始めた。
「「「おおぉぉぉぉぉ……!」」」
あれ? ヨロプって農業が盛んな国だよな……?
なんでこんなに鉱石があるんだ?
それになんか……変な気配がする。
薄い壁とかの向こう側で何かあったら飛び出してくる
「よくぞ参られた、ルイド一行よ」
俺らが謁見の間に
「「「!」」」
玉座を見ると、頬杖をついている黒髪で眼鏡を掛けている男性が座っていた。
あ、あれがウィーラーチ様か!
俺らはすぐに
「そんなにかしこまらなくても良い。立て」
言われた通り、俺らは立ち上がった。
「ほう、
「は、はい!」
「あの頑固者が称賛するほどの強さ……実に興味深いな」
「……?」
頑固者って、誰の事だ?
「して、其方の隣にいるのは、ルイドに召喚されたというエリシアとラルム、かな? どちらがエリシアだ?」
「私でございます」
「なるほど。これまた何とも美しい女性達だ」
「光栄でございます」
「あっ、ありがとうございますっ!」
ラルムー! 王様相手に普通の敬語じゃダメだって!
「して、あの頑固も……其方の街のギルドマスターから聞いたのだが、ルイド、其方は一人でモウルマン五体を倒したそうだな?」
「そ、その通りです」
「ふむ、ならば少しここで見せてはくれまいか?」
「分かりました……はい?」
待て、今ウィーラーチ様はなんて言った?
ここで見せてはくれまいかって……え? い、今ここで戦うって事!?
「では始めるぞ。おい、放て」
「はっ」
兵士さんがいつの間にか用意されていた檻を開けると、五体のモグラビトが出て来た。
くそっ! 変な気配の正体はこれか!
「エリシア! ラルム! 離れて!」
「「はっ、はいっ!」」
エリシア達が離れていくのを確認し、俺はすぅー、はぁーと深呼吸をした。
そしてすぐに短剣を構え、モグラビトの攻撃を見る。
『『『『『グリャアビシャブレェェェェェェェェェ!』』』』』
「ふっ!」
「……ほう……」
俺は五体のモグラビトの攻撃をほぼ同時に受け流した。
あの長い爪を
『『『『『ブリュウシャレッシャ!?』』』』』
戸惑っているモグラビトのうち一匹の首を短剣で
『グリビギュラァセェェェェェェ!』
まずは一体。
『『『『リビゥウルバスロフィルレェェェェェ!』』』』
再度迫り来るモグラビトの攻撃を見て、短剣の剣身の向きを変える。
(こいつら……俺が爪を伝って攻撃を受け流した事に気付いて別個体同士との間隔を開けてきた!)
モンスターにしては知能が高いなぁ……やっぱり危険度がBなだけはある。
「まあ……関係無いけど!」
俺は一体のモグラビトの攻撃を受け流すと、すぐに片手で逆立ちをして靴の
そしてもう二体のモグラビトの攻撃は起き上がる際にやるでんぐり返しの最中に短剣で受け流した。
『『『『ドゥビルッシュゥガァァァ!?』』』』
今の爪先で攻撃を受け流す行動も、ダンジョンで身についた動きだ。
ダンジョンでもこういう感じで数で攻められることが多く、流石に短剣一本だと
なので、靴の爪先をモンスターの素材で固くし、いざという時に爪先で受け流せる様にしたのだ。
(これ習得するのに中々時間掛かったんだよなぁ……)
そう思いつつ俺はまた一体のモグラビトの首を斬った。
『『『ビリシャアグブリェリョゴガァァァァァ!』』』
多分、仲間を二体殺されて怒り狂っているのであろうモグラビト達の首を斬った。
『ブリュウゲ……?』
『ギャラクセェ……?』
『ギラブルガンガァ……?』
自分らがどうなったのか分からず、そう戸惑った鳴き声を上げたモグラビト達の頭部がずれ、ボトリと地面に落ちた。
「……ふぅ……」
前にも言ったが、戦闘では冷静さを保っていたほうが勝つ。
あんなに怒り狂っていたら、そりゃあ避けられる攻撃も避けられない。
今の攻撃は、冷静だったら避けれたはずだ。
いやまあ、避けられたら避けられたで突っ込んで首を斬るが。
「見事だ」
そう言ってウィーラーチ様は拍手をした。
「其方がモウルマン五体を一人で倒したという話、半信半疑であったが……ふふふ、今この目でしかと見たからな、信じるしかあるまい……。しかしなるほど、モウルマンの攻撃にはああするのが良いのか……」
ウィーラーチ様はその後ぶつぶつと何かを言った後、バッとこちらを向いた。
「ルイドよ」
「な、何でございましょうか?」
「其方、今年我が国で開催される祭典、『
「…………は?」
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