武具にまつわるエビソード
【夜想曲】ノクターン・エッジ
かつての夜の世界に住まう鍛冶師により一振りの剣が鍛えられた。素材には悪魔の血肉が用いられ、その刃には苦悩と恐怖が刻まれた。炎と髑髏が浮かび、柄の頭部には魔王の顔が刻まれ、絶望の光が滲み出ていた。
多くの者がこの剣の力を求めたが、触れた者は皆狂気に飲み込まれ、破滅へと向かった。それでも、人々は剣の魅力に取り憑かれ、破滅を顧みずに力を追い求めた。
ある時、一人の青年が剣の前に現れた。過去に悪魔により多くを失い、復讐に燃える青年はその剣を手にし、悪魔を根絶やしにすることを誓う。
彼もまた、破滅へと向かう一人のはずだった。しかし彼は、狂気に飲まれない強さを持っていた。剣と共に戦う中で苦悩し続け、苦痛の中で一つの答えにたどり着く。見出したのは、光。青年は剣と対話し、怨念を鎮めることに成功した。剣は求めていたのだ。救いを。
彼らは共に光を取り戻す旅に出た。憎悪ではなく、誰かを救うために戦うのだ。
その刃は悪を斬り、闇を照らし、やがて伝説となった。剣は破滅の道具から、希望を求める者たちの象徴へと変わった。
ある時。旅を続ける青年が出会ったのは、自分の村を破壊された少女であった。彼女は憎しみに満ちており、青年の持つ剣に興味を示した。少女は青年から剣を奪おうと、飲み物に毒を混ぜて渡した。
青年は毒に気づいていたが、その飲み物を飲み干した。
驚く少女を前に、青年は闇ではなく光をもたらす力を教えた。憎悪、復讐心は心を侵食し、やがてそれを糧に悪魔が生まれ、悲劇は連鎖することを教えた。
少女の心から闇が消えた。
青年は命を失ったが、その魂は剣に宿り、新たな光となった。
少女は剣と共に、世界に光をもたらす旅に出ることを決意した。
やがて彼らは最大の悪魔に立ち向かうことになる。
激闘の末、悪魔はその力を失い、深い闇へと逃げ帰ることとなる。
少女は戦いの時に受けた傷がもとでその命を失い、剣は地に眠りにつくことになる。
その剣は深い闇を抱えながらも明日への希望を持つ者の前に姿を現す。
いつしかその剣はノクターン・エッジと呼ばれる希望の剣となり、今日もどこかで語り継がれている。
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