3.
「それじゃあ君の家に帰ろうか。あ、夜ご飯は食べたの?」
「まだですね、家の近くにコンビニがあるのでそこに向かおうかなと思ってます」
「そうなんだ、なら泊まらせてもらうお礼に俺が何か作ってあげるよ?」
「いいんですか!?じゃあハンバーグ食べたいです!」
「ハンバーグか…ひき肉売ってるかな…」
そんな会話をしながら僕と怪しい人はコンビニに寄って家へと帰った。
それが2日前の出来事。
「それで?その怪しい奴が宇都宮だったのか」
「そうなんだよ~!!」
家に帰ってフードとサングラスをとったらあらびっくりなんと怪しい人の正体は僕の推し、宇都宮君だったのだ。
僕はその現実を受け入れれなくてしばらく固まってしまったが宇都宮君は気にせずハンバーグを作っていた。
ハンバーグの作り方が手際良かったので普段から料理をしているんだなとドキドキしながら宇都宮君の後ろ姿を見つめてしまう。
もう心の中はキャパオーバーで動悸、息切れ、目眩で失神寸前だった僕に宇都宮君はなんとなんとできあがったハンバーグを食べさせてくれたのだ!!
「ちょっと待て、宇都宮はお前の事知らなかったんだろ?初対面の奴に普通あーんなんてしなくね?」
僕の話を眉間に皺を寄せて聞いているのは友達の三島将人(ミシママサト)。
大学で一番最初にできた友達だ。
彼は僕がアイドルオタクで宇都宮君のファンということを知っている。
オカン気質で面倒見のいい彼は宇都宮君の事を語る僕の話を唯一最後まで聞いてくれる友達なのだ。
「そもそも昴、お前は宇都宮に声が似ているからって怪しい奴を部屋に持ち帰るなよ」
「も、持ち帰るって言い方…」
「本当の事だろ?」
そんな人の事を物みたいに扱うような言い方に少しだけ苦笑いする。
いや、将人の言ってることは正しいんだけどね。
要するに怪しい人が宇都宮君だったから安心だったってことでしょ?
「もしその怪しい奴が犯罪者だったらどうしてたんだよ、昴殺されてたかもしれないんだぞ?」
「うっ…おっしゃるとおりです。でも僕にもなんで彼を家に泊めたのかわからないんだもん」
普段なら知らない人とはあまり関わらない為、2日前の自分自身の行動にも驚きだった。
…シンプルに宇都宮君に似ている声だったから助けてあげなきゃって思ったのかな??
まぁ、声が似ているというか実際は本人だったんだけども。
「やっほー将人!すばるんも!どうしたのなんか暗くない?何かお悩み相談中??」
突然僕達の会話に元気よく入ってきた子は将人の彼女さんで碓氷桜(ウスイサクラ)ちゃん。
明るくムードメーカーみたいな子なんだけど…たまに何を言っているのか分からない時がある、多分僕と同じでオタク?なんだろうけどね。確か腐女子って将人が言ってたっけ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます