第13話 狙われる者①

 次の日はもちろん学校だ。俺は部屋で制服に着替えてリビングに出た。


「おはよ!」

「おはよう、三葉。2人は?」

「まだ寝てるんじゃないかな?」


俺が降りた時にいたのは三葉だけだった。キッチンで朝ごはんを作ってくれている。匂いからして洋食系だろう。俺はソファーにカバンを置いて、寝癖を直しに洗面所に向かった。


 寝癖を直してからリビングにまた戻ってくる。そのときには穿がもう起きていた。2人はキッチンで並んで朝ごはんを作っている。穿は料理もできるようだ。


「おはよ、穿。」

「賢斗、もう起きてたのか?」

「いつもと同じような時間に目覚めてな。それより潜さんは?」

「見てないけど。起こしてきたら?」


潜さんはまだ起きていないらしい。普段の潜さんからは想像できない感じだ。


 階段を上がって俺の部屋の反対側にある潜さんの部屋のドアをノックする。


「起きてる?」

「…………」


返事がない。寝てるんだろう。少し緊張はするがやらないといけないことだ。


「入るよ。」


間取り的には俺の部屋と同じはずだけど、どんな感じに仕上げたのだろうか。


 中に入ってまず目についたのは机の上に広がった課題を見た。俺も少しずつ進めているが、まだ終わりが見えていない。昨日のあの忙しさのあとでもやっていたのか。単純に尊敬だ。


 そんなことを思ったってこれ以上寝ると遅れる。俺はベッドの上の潜さんの肩をさすった。


「さすがにもうそろそろ起きて。朝ごはんできるよ。」

「んあ?あぁ。百野くんおはよ。起こしに来てくれたの?ありがと。」


潜さんは上半身だけ起こして伸びをする。服に押し上げられた双丘に目が行ってしまいそうになるが、慌てて目を逸らした。


「先に降りとくから二度寝はしないように。」

「はーい!」


改めてこんな人が俺の許嫁でいいのかってことが不安になってきた。絶対に俺よりもいい人がいるだろう。そんな人の未来を俺が奪っていいのか?


 リビングに降りると少しずつ朝ごはんの用意が終わりかけていた。


「俺も手伝うわ。」

「別にいいよ。私と穿でどうにかなってるし。」

「そうか。ありがとう。洗い物は俺たちでやるわ。」

「ありがとう。」


パンとハムエッグ、軽くサラダと果物だけの普通の朝ごはんだ。


 しばらくして潜さんが降りてきた。


「お待たせ!」

「百花ちゃんおそーい!」

「潜さん、昨日のとこが定位置だから座る。」


俺の隣に制服姿の潜さんが座る。対面の2人から見たら同じ制服って何か変な感じがするんだろうな。


『いただきます!』

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