3.アリスの悪夢

 その晩、私は自分のベッドに横たわり、天井を見つめていました。ドーラの教会での奇妙な反応と、彼女の不安そうな表情が私の心に重くのしかかっていました。眠りにつこうと目を閉じると、私の意識はじわじわと暗闇の中に沈んでいきました。


 不意に、私は奇妙な夢を見始めました。夢の中で、私は自分の部屋にいるようでしたが、何かが違っていました。部屋の隅から黒い霧がゆっくりと立ち上り、徐々に私の周りを取り囲んでいきました。霧は冷たく、それが私の肌に触れると、身体中が鳥肌立つような感覚に包まれました。


 霧の中から、ドーラの姿が浮かび上がりました。彼女は私に向かって歩いてきて、私の手を優しく握りました。その瞬間、私は奇妙な安堵感とともに、深い眠りに引き込まれていくような感覚に襲われました。


「アリス・・・」ドーラの声が遠くで聞こえ、彼女の顔が私の目の前でぼやけていきました。私は抵抗しようとしたが、身体は重く、動くことができませんでした。


 夢から覚めた時、私はベッドに汗だくで横たわっていました。私の心は高鳴り、混乱と驚きでいっぱいでした。ドーラが現れた夢はあまりにもリアルで、ただの夢とは思えませんでした。


 その日の朝、私は学院に向かいましたが、夢の記憶が頭から離れませんでした。リザとメアリーに夢のことを話すと、彼女たちは心配そうな顔をしました。

「それはただの夢よ、アリス」とリザが言いましたが、私の心は落ち着きませんでした。


 授業中も私の注意は散漫で、先生の声は遠くで響くようでした。私は夢の中で感じた黒い霧とドーラの存在について考え続け、それが意味するものが何なのかを理解しようとしました。


 放課後、私は再び夢についてドーラに話そうとしましたが、彼女は「夢なんて、気にしないで」と言うだけでした。

 しかし、私の心は不安でいっぱいで、夢と現実の境界が曖昧になり始めているように感じられました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る