アリスの悪夢とドーラ

森野正

1章:王都の秘密

1.王都の風景

 王都の朝はいつも、鳥のさえずりと共に始まります。私、アリス・シルベランは窓から見える壮大な景色に目を奪われながら、新しい一日を迎えます。私はシルベラン辺境伯の娘で、我が家は歴史ある貴族の屋敷で、王都の中心部に位置しています。窓からは王城が見え、その威厳ある姿はいつ見ても心を揺さぶります。


「アリス様、朝食の時間です」とメイド長から声が掛けられます。彼女の声に応え、私はベッドから抜け出し、朝の支度を始めます。鏡の前で髪をとかしながら、今日の学院での予定を考えます。私は王都の貴族学院に通っており、そこでは様々な学問や礼儀作法を学んでいます。


 朝食のテーブルには、父と母、そして弟のジョージがすでに座っていました。「おはよう、アリス」と父が微笑みながら言う。私は彼らに向かって微笑み返し、「おはようございます」と答えました。


 食事中、私たちは家族の話や王都の最新の噂について話し合います。私の心を最もひききつけるのは、王城や古い教会の地下に隠された謎や秘密に関する話です。王城の地下には古いろうがあり、かつて数々の拷問が行われたと言われています。教会の地下には、何世紀も前の悪が封印されているとの噂もあります。


「そんな暗い話はやめなさい」と母がたしなめますが、私の好奇心は止まりません。私はいつも、王都の歴史の中に隠された秘密や謎を解き明かすことを夢見ています。


 学院への馬車の中で、私は窓の外の風景に目を奪われます。王都の街並みは、古い建築と新しい建物が見事に融合しています。街の人々は忙しく行き交い、商人たちは商品を売り込むために声を張り上げます。王都の活気に満ちたこの風景は、私の心をいつも高揚させます。


 馬車が学院に到着すると、友人たちが既に待っています。彼らとの会話はいつも楽しく、私たちは学業や王都の生活について語り合います。しかし、私の心の奥では、王都の秘密や謎を探求する冒険への渇望かつぼうが、静かに燃え続けているのでした。

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