ポリへドロン
みちみち
第1話 全ての始まり
志望校に合格し安定した学園生活を送っている高校一年生である三谷陽太は2年前に祖父を亡くし、おじいちゃんっ子であったこともあり、2年経った今でも毎日欠かさずお墓参りに行っている。親からはそろそろ心を切り替えろと言われ続けている。
その日は10月にしては寒さが厳しく朝は窓に霜がびっしりと張っていた。いつも通り日が登る前から目が覚める、親はやはりまだ寝ていた。この日は早めにお墓へ行こうと思い物音をたてないように着替えて線香を持ち家を出た。
墓地までの道は緩やかな上りで一本道となっていて徒歩5分ほどで着く。お墓へ着くと手入れをして線香をあげる、いつまで経っても新鮮な感覚が残っている。墓地のすぐ隣には神社があり、たまにはお賽銭でもしようかと移動する。砂利道は軽く音を立て、
「今日が始まるなぁ」
とか考えながら歩いていたその時、
つま先に何かが当たり鈍い音を立てる、ぼーっとしていたせいか軽く地面に倒れ込む。一気に眠気が覚め起き上がる、歩き慣れたこの道でつまずくはずがないと思い足元を見ると、
そこには謎の細工が施されたピラミッド型の鉄の塊があった。
「誰がこんなものを神社の目の前に、」
と思いその鉄の塊を拾い上げる、ずっしりと重たい、鉄とは思えない重さだった。
次の瞬間、周りの空気が、世界が変わる感覚が全身に伝わってきた。思わず投げ飛ばしてしまったが、手は痺れ鼓動がありえないほどに高まる、その場から走り出すことも叫ぶことも出来ず呆然としてしまっていた。するとその鉄の塊は徐々に形を変え、細工されていた文様が金色に光り始めた。それと同時に目の前の神社の本殿の襖は全て開き、本殿の中から金色の光が溢れ出し始めた。
あまりの超常現象に腰を抜かしてしまった陽太は呼吸をするのに必死だった、本殿と呼応するように輝く鉄の塊はだんだんと落ち着き始め、本殿の襖もビシッと閉じた。やっと足に力が入りその場から逃げ出そうとするとその鉄の塊は逃げようと走る陽太の目の前に現れ、顔に近づきそのまま陽太の口へ強引に貫入した。陽太は反射的に吐き出そうとするが───
ポリへドロン 第1話 全ての始まり 終
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