さよならをするとき、連絡先を交換した。

 るうは「絶対にまためめ先輩の音楽を聴きに行きます」と言ってくれた。

 めめは「ありがとう」と顔を真っ赤にしながら言った。

 めめは自分のこじんまりとしたアパートに帰ると、すぐに今日の出来事を思い出しながら新しい曲を作り始めた。

 その曲の一番の中心にいるのはるうだった。


 東京に来てから数週間が経った。その間、めめはレストランでアルバイトをしながら積極的に音楽活動をした。

 めめの歌はたくさんの人が足を止めて聞いてくれた。

 嬉しかった。

 でも、その人たちの中にるうの姿はどこにもなかった。

 めめはるうにあの東京に来て初めて自分の歌を好きだと言ってくれた綺麗な女の子に今なにしてるの? と連絡をとりたかったのだけど、それをすることができないでいた。

 るうを思って作曲している音楽がまだ完成していないからだった。

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