第36話・チーム編成

バイオさんの所の千夜一夜物語を手に入れた次の日。

皆んなで朝ご飯を食べている時、シンドバッドさんは言った。

「さてぇ残りの千夜一夜物語だけど、あと2つですぅ」

「「はぁ!!?」」

俺を含めて、シンドバッドさんに仕えてない組が吹き出した。

あと2つ!?展開早くない!?

「まだ1桁くらいかと思ってました」

「ハハックロちゃんそれじゃ終わらないよぉ。それでなくても無駄に長いんだからこの話。着地が見えてないよね、目的あれば書けると思ってる」

「やめて、シンドバッドさん」

「シンドバッド様、メタいですよ」

「あと2つの所在は分かってるんですか?」

「大丈夫だよぉ、それでその2つなんだけどぉチーム編成を変えようと思うぅ」

チーム編成?

皆んなの食事の手が止まる。(バイコさん以外)

「チーム1が私とアラジン、アーズィム君、バイコ君、バイオ君

チーム2がクロちゃん、カシム、アリババ、モルジアナだぁ」

な!?

「何だそりゃ!?」

「何?ボクには理解できない」

「エア語で頼む、モグモグ」

「どういう事ですか?シンドバッド」

アーズさん、バイオさん、バイコさん、アラジンが次々と言葉を発する。

「どうも何もぉこれから一緒に願いを叶えようって仲間だぁ。親睦を深めようと思ってねぇ」

親睦?俺に付いてくれる人達とシンドバッドさん親衛隊を逆にして?

確かにこうでもしなきゃ接点なさそうだけど。

「オイオイ~親睦なんて深めても意味ねぇだろ」

「分からないよ、アーズィム君。意外なモノが見えてくるかもしれないよぉ」

「何だよ、それ」

「それは君次第だよぉ。君の本当の目的は何だいぃ?」

「!」

アーズさんの本当の目的?俺の魔法がかかる前のアーズさんのって事かな?それとも・・・・

「まぁそれは道中でも話そうよぉ、その為のチーム編成だぁ」

アーズさんは何も言わずにシンドバッドさんとは違う方向を向いた。

「バイオ、どういう話?」

「ボクらと王様、ご主人様と王様親衛隊のチームで千夜一夜物語を探しに行こうって話」

「何だそれ、俺はマスターと行きたい」

「それはボクも同じだ」

実は仲良いだろ、あの2人。

数分の静寂。次に話したのはアラジンさん。

「・・・・カシム、君達親衛隊は尽くし守るべき王を僕らのようなモノと一緒にして目の届かない所へ送るのを良しとするのですか?」

「私は隊長ではないので。隊長の意見に従ったまでです」

「アリババ、どうなんですか?」

「俺は問題ないと思っている。お前らが束になってもシンドバッド様には何も出来ないで死ぬだけだ」

確かにシンドバッドさんの強さは以上だ。それは昨日見せつけられた。

「理由が軽いですね」

「俺の理由の重さを付けるのはお前じゃない俺だ。自分の価値観を押し付けるな」

ピリピリと空気が張り詰めてくのをリアルに感じた。

「そちらはそれでも僕はクロちゃんさんを君達と一緒するのは反対です」

「それを決めるのはクロちゃん様だ」

「落ち着いてぇ2人共。クロちゃんはどう?このチーム編成?」

うっこっちに来た。空気になる事に徹したのに。

どうって言われてもなぁ、正直皆んながいないのは不安。シンドバッドさんの考えも分からない。でも、これは乗らないとダメな雰囲気もあるし、どれが正解なのか。

こういう時漫画、アニメはどうにしろ正解に向かうから安心感があるから良いよなぁ(絶望がデフォの作品は除く)

このチーム編成に本当に親睦以外の意味はないのか?

シンドバッドさんは何を考えてるんだろう?

昨日、目的は聞いたけど何か根性論な所もあったし。

現状維持か踏み出すか。

現状維持かな、前の世界だったら。

それにアラジンさんとシンドバッドさんが同じチームで俺がいない状況か。

「良いと思いますよ、チーム変えるの」

「我が君!」

「ご主人様!?」

「天使、どういうお考えか聞かせて頂いても?」

おぉ~目が笑ってないアラジンさん怖い!

「これには考えがあります。今回はシンドバッドさんの提案に乗ってもらえませんか?」

「・・・・天使がそう言うのなら」

「えー!それでも俺は嫌だぜー!」

「アーズィム、ご主人様の命令は絶対だ。きっとこの仕事が終わったらご褒美にかきたての汗をくれるに違いない!」

この後、バイコさんにも説明したけど駄々をこねられた。

アラジンさんが何か言ってバイコさんとアーズさんを納得させた。

何を言ったんだろう?

「じゃあ話もまとまったしぃ早速行こうかぁ。私とアラジン、バイコ君、アーズィム君、バイオ君チームは北。クロちゃん達は南

の千夜一夜物語をお願いねぇ」

南かぁ。次はどんな所だろう。

食堂を出て、南側の門に向かう。

反対の北門に向かうチームシンドバッドの方からアーズさん、バイコさんの俺の名前を呼ぶ叫ぶ声が聞こえる。

振り向かないでおこう、長くなりそうだから。

「クロちゃん様、我々は馬で参りますがクロちゃん様はご自分の馬はいらっしゃいますか?」

カシムさんが聞いてくる。

「馬なんて持ってません。乗る事を出来ないんですよ、アハハ」

持つも何も乗るのだってバイコさんに乗せてもらったのが人生初だよ。

「そうですか、では私の後ろにお乗りください。アリババ先頭は任せましたよ」

「うん、分かった」

南門に着き、食料の準備をしてるモルジアナさんを3人で待つ。

沈黙、沈黙、沈黙。

気まづ!全然話す事ない!話しかけるのも何か怖い!

よく考えたらアウェー感が半端ない!

人の事ばっかり考えてたけど、俺もこのメンツでやっていけるのか!?

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