第13話
魔法の絨毯は玄関というには大き過ぎる門の前に静かに降りた。
「さーてぇシフトが変わってるならぁ」
シンドバッドさんが辺りを見回した。
「シンドバッド様!!」
門が開き、奥から1人の男の人が出てきた。
「カシムぅただいまぁ」
「お一人でお帰りになられたのですか?」
「1人じゃないよぉ『友人』がいますぅ」
「これはアラジン様!お久しぶりです!」
「お久しぶりです、カシムさん」
この人はカシムと言うのか、アラジンさんは知ってる人みたいだな。
褐色肌にアリババさんと同じ服。顔似てるな、兄弟かな?違うのは鼻の下のダンディな髭があるくらいか。
「こちらの可愛らしい方も御友人で?」
「そぉ今日仲良くなったクロちゃんだよぉ」
「クロちゃん様!初めまして、私シンドバッド様の親衛隊副隊長のカシムと申します!」
深々と頭を下げるカシムさん。
すごい!大人の挨拶だ!!こんな俺みたいのにもこんな丁寧な挨拶をしてくれるなんて!
「あっは、初めまして!」
「カシム~勝手にシフト個人的に内容で変えちゃダメだよぉ」
「ハッハッハッ!すみません、可愛い弟の頼みでしたので!」
「ホント、アリババに甘すぎぃ」
「可愛いですから!ハッハッハッ!」
兄バカってやつなのかな、このカシムって人は?
「して、如何いたしましょう?シンドバッド様」
「今日はもう遅いから寝室に案内してぇ。アラジン、クロちゃん、急にごめんねぇ。明日朝から歓迎会するからぁ」
「いえ!そんな」
王様と知ると何か緊張するな。
「・・・・アラジンは私の部屋来る??」
「いえ、クロちゃんさんを慣れない所に一人にするのは心苦しいので、クロちゃんさんと一緒にいます」
「・・・・そうだねぇ、それが良い」
「では、ご案内致します」
俺とアラジンさんはカシムさんに案内されて門を入って左の通路へ。シンドバッドさんは真逆の右の通路へ一人で行った。
部屋の道案内中カシムさんとアラジンさんはこんな会話をした。
「アラジン様宜しかったのですか?クロちゃん様は我が親衛隊の名に賭けて最高のおもてなしと安全を保証致しますよ」
「それは信頼してますよ、カシムさん。それとこれは別ですので」
「これは差し出がましい事を言いました。失礼。」
よく分からない会話だ。こういう何か含んだ会話って苦手だ。前の世界でも特に日本はそういうのだらけだったな。そういうのも嫌で引きこもってたんだけどね。
「こちらがクロちゃん様はのお部屋になります」
案内された部屋はさっきのカフェなんて比じゃないくらいの部屋だった、流石王宮!
「アラジン様はー」
「僕もこの部屋で大丈夫です。寝るだけですから」
「そうですか、では何かありましたら備え付けのベルをお鳴らしください。担当の者が来ますので。では良い夢を」
そう言ってカシムさんは部屋を出ていった。
部屋には俺とアラジンさんだけ。
「天使」
「! はい!」
何か緊張する・・・・!
「お話がありまして」
「・・・・・」
真面目顔で目を見てくる。数時間前とは違う感じ。
「本当は今すぐ添い寝したいのですが・・・・!!」
あ、数時間前と同じだ。
「いや添い寝しながら話しましょう」
「は??」
「疲れたでしょう、さぁベッドへ」
いやいやいや!何その慣れた手つきでのベッドへの案内の仕方は!オイ!ちょっと!わー!!お姫様抱っこはやめてー!!
お姫様抱っこでベッドに連れてかれて横にされた。
アラジンさんはそのまま俺の横へ添い寝。
「疲れたでしょう、ゆっくりして」
その優しさに満ちた目がカッコいい~!!
って違う!!
「今はアーズィム、バイコ(邪魔)もいないので」
今、アーズィム、バイコと書いて邪魔と読んだな!
「失礼」
仰向けに横になる俺の前髪をアラジンさんの
右手が掻き上げる。
ドキドキする。何故か!
「黒目に黒髪だからクロちゃんか、シンドバッドらしい」
そのまま右手は俺の頬の方へ。
「天使・・・・」
アラジンさんの顔が近づいてくる。
あれ、何でだろう。何の抵抗する力も出ない。流れに、任せなきゃいけないような。変な力が働いてるような。
「あっ・・・・」
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