第15話 前倒して受診
3月1日が再診の予定だったけど、1月の終わりに何度か酷く痛む日が続き、一ヶ月前倒しで診てもらえるよう、病院の予約を取り直した。
11時の枠で予約。採血があるので10時に病院へ。
しかし採血の順番待ちで40分。
血液検査の結果が出るまで概ね1時間。
結局呼ばれたのは14時近く。
中待合に入った時、先の人が呼ばれて中に入っていった。その時の時間を見ると、一人あたり10分から15分ぐらい時間をかけて話をしてるって感じ。
数時間待ちの1分診療だけじゃないだけいいのかな?
それより、朝のんだ鎮痛剤切れて、お腹と背中痛いよ……
12月末で異動したS先生の後任はN先生。
血液検査の結果は前回と大きく変わらず。
良くもなってなければ、悪くもなっていない。
ヒートマップはG3aなので引き続き血圧管理と塩分注意って感じ。
痛みと食欲不振、心窩部から左上の痛みを伝えたけど、先生も「うーん」と困っている。
「前の先生からも聞いていると思うんだけど、T病院を紹介しても必ずしも治療をしてくれるわけじゃない。他で同じようなケースを紹介しても、戻されちゃう事がとても多いんだよ」
「腎臓はともかく、肝臓の嚢胞だけでもなんとかなると、楽になるかなぁ〜と思うんですが……」
PCモニターに映した私の水玉模様の輪切り肝臓が、先生のマウスの動きに合わせてスルスル動く。
「嚢胞を小さくする薬はないんだよねぇ……穿刺吸引をやってくれるっていう放射線科の先生には相談してみけど……嚢胞感染のリスクがねぇ」
難治性になりやすいので、ベネフィットよりリスクの方が高いということか……と話を聞きながら一人で納得する。難しいかもしれない。
「単発の巨大嚢胞だったら、もっとシンプルに対応できるんでしょうが、これだけ多発してると、どうしようもないですよね……」
「そうなんだよね……ごめんね、どうにもしてあげられなくて」
先生にものすごく申し訳無さそうに言われた。
嚢胞を穿刺吸引しても、それが一時的なものでしかないのも、一通り調べたので知っている。部分切除をしてもそれが根治療法にはならないし、嚢胞の場所が悪くて胆管を塞いで問題が起きるなどしないと、どうしようもないのだろう。
ご飯いっぱい食べられなくても、痛いのと苦しいのが楽になればいい……
そう思うしかない。
「腎臓に負担が少ないもので、痛み止めの種類を変えましょう」
ということで、カロナールからトアラセットにおくすり変更。
しかしこれ、副作用に吐き気とかあるそうな。吐き気止めも一緒に処方されて次はまた三ヶ月後。
この医療センターは地域の癌治療の基幹病院だ。
外科の手術症例を診ても、嚢胞に関するものはない。
T病院は有名だから全国から患者さんが集まってくるので、本当に重症の人しか診ないのかもしれない。
どっちにしろこれ、ただちに命に係る病気でもないし、めちゃくちゃ患者数が多いわけでもない。
対処療法しかないし、仕方ないのかな……
さて、このトアラセット配合錠。めちゃくちゃ効いた。
痛みがマイルドになった。
思ったほど気持ち悪くならない。
ちなみに、痛むようなら神経を抜くかもしれない予定の、治療中の奥歯の鈍い痛みも感じない。
すごい。すごいのだが……
その日の夜に飲んで数時間したら、ムカムカしてきた。その日は吐き気止めの頓服を飲んですぐに寝た。
この副作用、思いの外しんどかった……
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