第24話 大歓迎の秘密



美乃莉ちゃんが食べ物のシェアが出来る子で良かった。

たまにいるじゃん?

潔癖症とかって、一緒の鍋つつけませんって人。

別に否定も肯定もしないけど、一緒にメシ食ってる中で言われたら気分がちょっと萎えるよね。

あとさ。


「俺ね、ご飯はちゃんと食べる子が好き。

自分が食べるの好きだからさ、美味そうに食ってくれると嬉しくなる」


多分、この子はそういった意味でも俺のストライクゾーンど真ん中だろう。

もう、いろいろ連れて行きたい(笑)


「あのう・・その、ご飯の事なんですけど・・・先に言っとかないといけないことがありまして」

「ん?」


頭の中であれこれ店を検索していると、彼女が言いづらそうに口を開いた。


「なに?」


何でも言って良いよ、という体で視線を向けると、彼女は『あの・・』と恥ずかしそうに俯きながら喋りだした。

それは、俺にはまったくノープロブレムな事だったけど(笑)


「あの、私、実は結構大食いなんです。

だから食事の時は私の奢りか割り勘にしてもらえると気兼ねなく食べれるというか・・」

「っはは(笑)」


思わずさ、吹き出しちゃうよね(笑)


「また笑う・・・」

「いやだって(笑)

すんげえ深刻そうにしてるから、どんな秘密かと思ったじゃん(笑)

そんなん全然平気よ?

俺、美乃莉ちゃんがコンビニのカツ丼大口開けて食ってたの見てて気持ち良かったし(笑)」


出会いの夜、病院に向かうの車の中ででっかい一口をでっかい口で美味そうに食ってた。

これで力付けるぞ!って。

まあ、あんまり女の子らしくはなかったけど、ちまちま食われるより全然好きだね。


「うわ。見てたんですか・・!

病院にいると時間に追われるので、必然的にああなるっていうか、」

「ああ、それ分かる。移動時間10分でメシ食ってとかザラにあるし。

口に入るかギリギリのサイズを無理矢理突っ込むよね(笑)」

「(笑)、まさしくそれです(笑)

ちゃんとゆっくり食べないと体に悪いって分かってるんですけどねー」


業界は全く違うのに出てきた共通点に、テンションが上がってくる。

彼女の言葉使いも多少砕けてきて良い感じだし。


「ねー。今日はちゃんと噛んでゆっくり食べよう(笑)」

「はい(笑)」


一頻り笑ってやっとそれがおさまる頃、「ごめんごめん」と言いながら優人がオーダーを取りにきて、俺達の、普通なら4人分くらいの注文を受けると「二人とも相変わらず食うな」と笑った。



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