第8話 ピンク色の髪の私 1

 私は、ローラ。

 平民として暮らしてきたけれど、なんと、突然、貴族になることになった!


 私の珍しいピンク色の髪が、町に遊びに来ていた伯爵家の息子の目にとまったから。

 私の髪にやたらと執着した様子の伯爵家の息子。すぐに結婚を申し込まれた。

 恋愛感情はないけれど、私は即OKしたわ。


 だって、貴族になれば、きれいなドレスをきて、美味しいものを食べ、贅沢しほうだい! そっちのほうが大事よね。


 でも、簡単にはいかなかった。伯爵夫妻が猛反対したから。


 平民なんてダメだ。うちの息子には立派な家柄の立派な令嬢をむかえる、……なんて言いたい放題。

 が、息子があきらめない。家をでると言い出した。


 ほんと、それはやめて。

 だって、貴族じゃなくなったら、あなたなんて興味がないもんね。


 と思っていたら、伯爵夫妻がおれた。


 私を、つながりのある男爵家の養女にし、貴族の学園に入れると言った。

 そして、いい成績で卒業したら、息子の嫁として認めよう、と。


 貴族の学園!  私は、うきうきして編入した。


 そこは、15歳から21歳の貴族が通う学園だそう。

 校舎もわかれていて、私は下位貴族の通う校舎に通うことになった。


 学園には、きらびやかな貴族の子息たちがごろごろいた。

 

 私はひらめいた。

 そうだ、あのうるさい両親のいる伯爵家の息子じゃなくて、もっとかっこいい、そして、もっと位の高い貴族に近づくチャンスじゃないって?


 私の珍しいピンク色の髪があれば、のりかえるのも簡単だもんね。


 だから、私は、自分の通うはずの校舎ではなくて、位の高い貴族たちの校舎をうろつき、目についた人に近づいていった。

 でも、なかなか、伯爵家の息子のように、コロッとはいってくれない。


 おかしいわね。私の魅力が通じないなんて……。


 そう思っていた時、信じられないほど、きれいな人を見た。

 第二王子のルイス殿下。

 美しいと噂には聞いていたけれど、まさか、これほどとは!  


 この人だ! と、私は思った。


 最高の位、最高の美貌をもつ男。どうせなら、最高を狙いたい! 

 

 噂を集めると、公爵令嬢の婚約者がいるが、5歳年下だということ。

 つまり、まだまだお子様。

 私の醸し出す大人の色気にはかなわない!


 見てなさい。何が何でも落としてみせるから。



※ ローラ視点は2回で終わります。

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