VRMMOのチュートリアル役NPCおじさん、バグった聖剣とゲーム知識で無双する。サービス終了したゲーム世界で、バーチャルアイドルと勇者を仲間にして世直しの旅に出ます。
第35話 エリカ、裏技チートスキルで勝利する
第35話 エリカ、裏技チートスキルで勝利する
――――【ショートカットキー】。
それはMMORPGで使用するスロットボタンのことだ。
【ログドラシル・オンライン】では、F1~F5のファンクションキーにスキルや魔法を登録する。ログドラシル・オンラインはVRなのでタッチパネルや音声入力での使用も可能だ。
魔法を使う際に一覧から選ぶ必要がなく、ファンクションキーを押せば登録した魔法を瞬時に発動できる。
『魔法スキルのショートカットを登録したファンクションキー』では長いので、【ショートカットキー】や単純に【ショートカット】と呼ぶことが多い。
「元PCのエリカなら【ショートカット】を使えるはずだ!」
「……っ!!」
俺のアドバイスを受けて、エリカが目を見開く。
「思い出しました……。そうです。ワタシもまたバグの恩恵を受けて目覚めたイレギュラー」
「何を言っているのですか? 不気味な……」
意味を理解できないでいる一般NPCのギルド長は、トドメとばかりに杖を振りかざす。
「わからず屋にはお灸をすえる必要がありますね」
エリカが独白を行っている間も油断せず魔力を溜めていたのだろう。
杖の先に濃厚な魔力が集まり、巨大な火炎球と化した。
「いま一度喰らいなさい。エクスプロージョ――――」
ギルド長が再び大魔法を放とうとする。だが――
「【
それよりも早く、エリカは杖を握って【ショートカット】を音声入力した。
――――パキィィンンッ!
次の瞬間、ギルド長の下半身と両腕が氷漬けになった。
いや……。
「これはぁぁぁぁ! バトルフィールド全体が凍っているぅぅぅ!」
実況のシェルフィもエキサイティングしている。
彼女の言う通り、広場が一瞬にして凍りついていた。地面だけではなく空気まで凍っているようで、ギルド長は真っ白な息を吐きながら
「そんな……。魔力も練らずにこんな広範囲を一瞬で凍らせるなんて……」
「【F1】には基礎的な氷魔法。【F3】は範囲拡大スキルが登録されています。二つを掛け合わせて広場を凍らせました」
「えふわん……? なんですかその魔法は。そんなの先生から習った覚えはありません」
「ロートルのエルフ先輩はご存じなかったようですね」
術者のエリカは氷魔法の影響を受けないのか、それとも耐性魔法を使っているのか。極寒の氷上に立ちながら涼しい顔をする。
「これが最先端の魔法です。スキル名を口にしないので対策の仕様もないでしょう? 常に先手を打てます。一般的なNPCにしてみればチートみたいなものですが」
「無詠唱の超高速魔法……。これがあなたの本気……」
「罪の意識から使うのを避けていましたが、もう迷いません。ワタシはワタシの目的のため、このチカラを使います」
エリカは悠々と歩いて近づき、ギルド長の鼻頭に杖の切っ先を突きつけた。
「チェックメイトです」
「ふっ……。参りました。降参よ」
身動きが取れないギルド長は、どこか清々しい笑みを浮かべながら負けを認めた。
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バーチャルアイドル リリムちゃんの宣伝コーナー
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リリム「うぉぉぉ! これで賭け金3倍だーーー! 今夜はハンバーグなのだ! あ、ちょっと短いがシーズン5はここまでだぞ。次回ついに灰の都に突入する。これからもワシさまについてこい!」
おはボウクン! ワシさまからの宣伝なのだ!
読者の★がランキングに影響する。面白いと思ったら★をくれるとワシさま大喜び。コメントで応援してくれるとワシさまがカカっとお返事するのだ。作品のフォローも忘れずにな。ふはは!
【現代ファンタジー】半妖の少年退魔師。登録者数=霊力のチート能力に覚醒して最強配信者として鬼バズる。~モンスターを式神にしてダンジョンマスターに成り上がります~
https://kakuyomu.jp/works/16818093091008292395
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