雲海スカイツアー。
銀のお姫様を撫で甘やかし、童貞らしくファーストキスを奪われた実感に浸ってしばらく後。エイラの謎パワーで空の上に立つ二人である。
場所は変わらず空の上。視界はいっぱいの青空と一面の雲海。
何度見ても青と白のコントラストが美しい。
「ユーリ、これはなんと言うのでしょうか? すいへーせん? ちへいせん??くも……くもへいせん……?」
繋いだ手をぶんぶん振って可愛く尋ねてくる。可愛い。なんだ可愛いな。可愛いか? 超可愛いな!!
優理の語彙力は消失していた。ただし、無駄に小難しいことは知っている。
「ふっふっふ、僕は知っているんだよ。空と雲の境界線はね、
前世で飛行機に乗った後、調べた。無論一人旅だ。悲しい。――いや悲しくない。何故ならこれからはアヤメと一緒の旅行だから。これが超可愛くて自分に懐いてきて好き好き大好きあいしてる! と言ってくれる妹を持った兄の気分か……。まあ妹とキスする兄は存在しない……存在しないか? 今世では割とポピュラーだし、前世は……創作なら無限にあった。普通か、普通だった。
「けんかいめん……」
『補足。圏界面は簡易総称であり、厳密には対流圏界面、成層圏界面、中間圏界面、熱圏界面に分かれます。現在優理様とアヤメ様が目視している雲海は対流圏界面です。一般的飛行機が飛行するのもこの対流圏界面です』
「?? エイラ、もっとわかりやすく教えてください!」
『了承。わかりました。簡単に言えば、目の前の圏界面よりもっともっと高いところにいろんな地平線、水平線のようなものがいくつかある、ということです』
「そうなのですか……見てみたいです!」
『理解。しかし現在の装備では成層圏が限界なので、アヤメ様専用耐環境スーツを作成してからになります。今は優理様とのスカイツアーをお楽しみください』
「わかりました! お願いしますっ。えへへー、ユーリとのスカイツアーですっ」
ニコニコ幸せいっぱいなお姫様は見ているだけで頬が緩んでくる。が、どうも今の会話で何やら世界の技術レベルを進めてしまったような気がしてならない優理だ。また灯華の胃を痛めつけると思うと申し訳なくなる。まあ灯華ならいいか。強そうだし。実咲はニッコリしてそうだし。最悪適当なエッチASMR(看病Ver)でも作れば大喜びで全部許してくれるだろう。
エイラに「そっちは大丈夫だったの?」と問いかけようと思ったら、先に言葉がやってきた。
『優理様、こちらは問題ありません。
「……うんっ」
「? ユーリ? 上を向いてどうしたのですか?」
平坦なエイラの声から途轍もない感情が伝わってきて、つい泣きそうになってしまった。
「いやなんでもない。目にゴミがね」
首を傾げるアヤメを誤魔化す。今のエイラの声は優理にしか聞こえていなかったようだ。敢えてそうしたのだろう。
「それよりアヤメ、今さらだけど僕たち、また一つ違う空を見られたね」
「あ! えへへ、そうでした。私も言おうと思っていたんですっ」
ぱっと華やいだ笑みを見せるアヤメに、優理もからりと笑う。
「こんな空はなかなか見る機会ないから、今日はしっかり目に焼き付けておこうか」
「はい!」
ニコニコの美少女に童貞もニコニコだ。
しかし、今さらだが圏界面は面全体を指すのであって、地平線水平線のように遥か彼方の「線」を指す言葉ではない。つまりそれは、圏界面は地平線水平線と同等の意味にはならない……? いや、やめておこう。世界は広い。そういう事情もきっとあるのだ。きっと。
「ユーリユーリ」
「はいはい。なんだいお嬢さん」
「えへへ、お名前呼んだだけですー」
「そっか。楽しい?」
「楽しいです!」
「ならよかった」
「えへへへへへ」
今日もアヤメは可愛い。この笑顔を見られただけで色々頑張ったかいがあるってものだ。下界の皆にはもうしばらく待ってもらおう……。
「……そういや配信ってまだ繋がってるのかな」
電波どうなってるんだというツッコミはいらない。何故ならここにはエイラがいるから。
携帯を取り出し画面を見てみる。隣のアヤメもぴょこっと覗き込んできた。可愛いので撫でてあげた。えへえへ喜んでいる。超可愛い。
▼チャット▼
私さ、映画とか見ても最近全然泣けなかったんだよね。なんでかな、情緒終わったのかな、男縁なさ過ぎて子宮だけじゃなくて心も終わったのかななんて思ってたんだよ。でもさ、この二人見てたら、優理きゅんとアヤメたん見てたら、つぅー……って頬を涙が伝ってさ。一筋の涙に自分で驚いたんだよ。だって私が泣いたんだ。私はまだ泣けたんだ。私、まだ心残ってたんだ。なら子宮もま
あたし、他人の恋愛とかほんとクソだなって思ってたの。だってただ運が良かっただけの女見ても何にも面白くないし、むしろつまんないしクソでしかないし。微塵も笑えないじゃん。けどね、アヤメちゃんと優理くんはね、すごいよね。尊いよね。綺麗だよね。あぁ、世界にはこんな美しい関係があるんだって、男女なのにそんなのあるんだって。キスに嫉妬はしたけど、嫉妬以外にも持
羨ましいとか、羨ましくないとか、これはもうそういう次元じゃないのよ。家族、なのよね。キスしてたけど。私にもお兄ちゃんいたらこうだったのかなって、そう思わされるくらい真っ直ぐで眩しかったわ。それにユツィラだけじゃなくてアヤメちゃんも。穢れ一つない無垢さ。ちゅーの後の欲のない純真な顔よ。遠くからでもわかるわ。何ならユツィラの方が汚れてたと思うくらいにす
最初は正直ただのエンタメだとしか思ってなかったんだ。けどさ、途中から映画みたいに盛り上がって、見入っちゃってさ。リスナー代表?が本当に現れた時はびっくりしたよね。あれ、これ現実と繋がってるんだって。そしたら急にリアリティ湧いてきてさ。優理頑張れー!ってアヤメちゃんのこと守ってやれー!って思って拳振り上げたよ。机にぶつけて超痛かった。ていうかキスして
ワンチャン私も優理きゅんとラブリーちゅっちゅする可能性ある?
「なんだこのコメント欄は……あとラブリーちゅっちゅの可能性はないよ」
ひたすらに流れる長文コメントと、途中に紛れる欲塗れのコメント。
すごいカオスな配信に成り下がっていたので、そっ閉じしておく。
「? ユーリ、今のは配信ですか?」
「まあ、うん。この人たちも僕とアヤメのこと応援してくれてたんだ。だからお礼だけ言っておこうか? 一応?」
「そうなのですね……。はい! みなさんありがとうございます!! 私、ユーリと仲直りできましたっ! とっても嬉しくて、幸せで……え、えへへ。また泣いちゃいそうですけど、でも、嬉し涙ですから大丈夫ですっ!!」
「僕からもついでに、ありがとうね、皆。今度感謝配信するから、その時またよろしく」
瞬きで涙を散らし、銀の少女は太陽の輝きを纏って笑った。
ひっそりコメント欄を見てみると。
▼チャット▼
え、すき
これもう私の娘じゃん
可愛すぎてユツィラが頑張る理由がわかっちゃった
守りたい、守り切る、この笑顔
アヤメちゃん、私がお姉ちゃんだからね!
今度は別の意味でひどかった。こちらの方がいつも通りだ。そっ閉じする。もう今日は終了時以外開くことがないだろう。
こんな高高度でも普通に繋がっていた配信は気にせず、とりとめのない話をしながらアヤメとスカイツアーを続ける。
なんでもない会話に感じる幸せを噛み締め、くるくる変わる銀色お姫様の笑顔に心底の安らぎを覚え。
「――あぁ」
「ユーリ?」
つい漏れてしまった声に、少女が不思議そうな顔をする。優理は淡く笑って首を振る。
「ううん、なんでもないよ。ただ嬉しくって」
「……私とのお喋りがです?」
「うん。アヤメとお喋りできるのが嬉しくて」
「ふふ、私もとっても嬉しいですっ」
「そっか。お揃いだね」
「はいっ」
ようやく湧いてきた実感に心震え、霞みそうになる目をそっと拭う。
アヤメはそんな優理を愛おしげに見つめ、いつも通りにたくさんたくさん話そうと言葉を続ける。
優理とアヤメの二人きりの青空散歩は、もう少しだけ続きそうだった。
☆
雨雲に包まれ薄暗い世界に星が降る。
落ちて落ちて、迫って迫って。
それは流れ星でなく人影だと気づいた。
東京スカイタワーでそれを見ていた数人は、速度を落としゆっくりとバルコニーに降り立つ影を待った。
拘束された大量の敵性組織の人員たちはそのほとんどが気絶し、一部(ソニャの元同僚)は「寒い」「冷たい」とぶーぶー文句を垂れていた。ソニャは暇だったので、それぞれの頭を順番にぺしぺし叩いていた。ちょっとした手慰みである。
今回の一件の最大の功労者であるメイド(無傷)はリスナー代表二人(それぞれ腕と足に深手)の手当てを熟し、いつの間にか現れた眼鏡(無傷)と談笑していた。
「ミサキさんは出迎えなくてよいのですか? ワタシは空気を読める女ですから、場が落ち着き次第話そうと思いますが」
「問題ございません。私奴も空気は読める女にございますから。この場には私奴以上に、優理様とアヤメ様をご心配されていた御方がいらっしゃいますから」
二人の視線の先、パッと駆け出した灰色の影があった。無音で降り立ったパワードスーツの傍で止まる美女。ソニャだ。
「パパ、アヤメ」
「ソニャ。ただいま」
「うんっ。……おかえり」
嬉しそうだ。口元がほにゃんとしている。可愛い。
「えと、ソニャ……」
「ばかなアヤメもおかえり」
「お、おばかなのはっ……そう、ですけど、そうじゃないです!」
「むふむふ、アヤメ、パパと仲直りしたんだ、ね」
「ぁ、はいっ。ユーリはやっぱりすごいユーリでした!」
「すごい僕……」
「むふふ、パパだからね」
「はい! すごいユーリです!」
なんだかんだでソニャとアヤメが一緒にいる光景をあまり見ていない優理だ。実際二人はすぐ離れてしまったので、仲良し度もあまり高くないはずなのだが……強いシンパシーでも感じるのだろう。ずいぶん親しげにキャッキャしている。
楽しそうな灰銀お子様組を眺めていると、そそそっと無駄に滑らかな動きでメイドがやってきた。後ろには無駄にゆっくりとカッコつけて尊大な動きを見せるロリ声眼鏡。ボディスーツが強調されて気を取られるからやめてほしい。
「優理様、アヤメ様の懐柔を上手く行えたようにございますね」
「懐柔はやめて。せめて説得ね」
「では説得と」
「まあ……なんとかね」
「私奴は携帯で拝見しておりました故、今さらではございますが」
「見てたんだ。……うん。皆のおかげでね。そっちはどうだった?」
「うふふ、ご覧の通りに」
緩やかに伸ばされた手が周囲を示していく。
縛られた敵、倒れた敵、文句を言う敵。無傷のメイドとロリ(声)眼鏡。リスナー二人は怪我をし避難しているので、後でちゃんと労りに行こう。
「すごいね。お疲れ。それにありがとう。助かったよ」
「うふふ♡ 私奴、優理様のメイドにございますから♡」
頬に手を当てうっとりしている。
メイドへの感謝や褒美的なものは後に回すとして、先に状況だけ聞いておこう。
「実咲、灯華さんの方はどうなってるかわかる?」
「灯華様にございますか? その辺りにいらっしゃいますよ」
「ええ……」
アルカイックスマイルを浮かべている。そんな犬猫じゃないんだから……話を続けようとして、顔に雨が吹き付けて目をつむらされた。
雨がひどい。いったん屋内に避難しよう。
皆に建物へ……と言おうとして。
「……どうしよう」
大量の捕まった人たちが転がっていて困った。……よし。
「皆、もう配信見ないつもりだったけど、緊急事態だ」
▼チャット▼
私に任せなさい
あたしがどうにかしてあげる
考えるのならまかせて!
ご褒美あるなら考えてあげないこともないわよ
「いっぱいいる悪い人達の扱いどうしよう」
▼チャット▼
はい無理難題
解散解散
あたしらに聞くことじゃないんだよね!
私なら見なかったフリして逃げる
自分で決めるのが男の子でしょ!!
「ここだけ僕に押し付けるのはおかしい。……いや僕のせいだから僕が決めるしかないのか」
とりあえずリスナーに聞いたのは間違いだった。こういうのは素人ではなく玄人に聞くべきだ。
「実咲、ちょっといいかな。話変わるんだけど……」
「――このメイド、ご主人様様の呼ぶところ例え火の中水の中、さらにはパンツの中までどこまでも」
「そういうのいいから。いい?」
「かしこまりました。この者らの処遇にございますね?」
「うん」
大体ふざけてはいるが話は誰よりも早い。さすがはメイドだ。
ふむり、と頷くメイドの言葉を待つ。どうでもいいが、雨に打たれ濡れるメイドは一段と色っぽく見えた。黙っていると本当に美人で困る。
「ロディグラーシの方々はソニャ様に御任せすればよろしいかと。その他の面々は灯華様と私奴に御任せを。優理様、アヤメ様、他の方全員は一度屋内へ御避難くださいませ。護衛は眼鏡様に頼みます故、問題ございません」
「ワタシ?」
「左様に。言い値で構いません。難所を乗り越えたとはいえ保険は必要ですから。最高戦力の確保は重要でしょう」
「フム……ならば、この程度で」
「かしこまりました。その程度ならば私奴のポケットマネーで可能です」
「……メイド、アナタかなりもらっているのですね」
「ふふふ、私奴、これでも万能メイドにございますから」
あまり突っ込みたくないやり取りは聞き流し、実咲の言う通りその場を離れることにする。メイドとの別れはあっさり。「ご褒美は一日ご奉仕権を」と言われたので、「一週間くらいいいよ!」と伝えておいた。
次にロリ声美女に声をかけ、「よろしく」と伝える。「依頼は受けましたから報酬分は働きます」とビジネスライクに微笑まれた。続けて「それはそれとして、ユウリさんからワタシへの報酬についてちょっとした相談があるので連絡先の交換をしてもらえますね?」と、軽く言われた。ささっと交換し、澄香を連れて歩き出す。
相談とは何だろうか、何か悪いことかすごいことか。なんでもいいが、警戒はしておこう。
今度はアヤメとソニャの下へ。
「ユーリ!」
「パパ」
「っと、どうしたの? アヤメ」
「えへへー、ぎゅってしたくなっただけですー!」
「そっか」
「はいっ」
抱きついてきた少女をなでなでしておく。
羨ましそうに目で訴えてくるソニャにもおいでおいでした。
「むふー」
「はいはい。嬉しい?」
「うん」
「そりゃよかった」
前は埋まっていたので後ろをプレゼントした。美少女美女のサンドイッチだ。色々気持ちよくてアレがアレでアレだが、まあ三歳児と十歳児が相手だと思えば……ギリギリアウトみたいなところか。肉体反応的に。
お子様二人を適度に甘やかし、「何話してたの?」「一緒に旅行に行くお話です!」「温泉いっしょにはいる、の」とかなんとか、そんな話を聞いた。ほっこりした。
二人が満足したところで、ソニャは追加でたっぷりなでなでしておく。
「ソニャ、ロディグラーシの人たちことは任せてもいいかな。実咲が一緒だから細かい部分は実咲に聞いてほしい。ごめんね、ずっと頼りっきりで」
ソニャは首を振る。
「いいよ。パパに頼られて……わたしはうれしい。それと、こういうときは、ありがとう、だよ」
「あはは。そっか。そうだね、ありがとう。ソニャ」
「うんっ」
本当にできた娘だ。いや娘ではないが。
ソニャと別れ、澄香とアヤメを連れて歩く。向かうはぼんやり景色を眺めていた黒髪少女の下。
無表情で視点を定めた姿は本物の人形のようだった。優理たちを――優理一人を目にし、氷の美貌に色が付く。
瞳には光が宿り、頬を薔薇が彩る。ぱぁぁっと輝かせた表情は優理を見たからか。すぐ後を付く銀髪美少女とロリ声眼鏡を目にし、可憐な花が微かに陰る。
「小鈴さん」
「優理さま……」
「いったん屋内に戻りますけど、あなたは」
「共に」
「そうですよね」
耳の横を掻く。なんというか、告白してくれた相手への接し方がイマイチわからない。これがモテ期か……。
「……行きましょうか? 小鈴さんもお手伝いありがとうございました。碌に報酬とか出せませんけど、僕に何かしてほしいことありますか?」
「――――そっ」
唇が震えている。目を伏せ、いじらしく上目遣いで見つめてきた。可愛い。超キュートだ。けどこの子暗殺者なんだよなぁ。世の中って怖いね。
「そ?」
「そ、それでしたらっ」
「う、うん」
「……わ」
静かに待ってあげる。ここはもう屋根下なのであまり濡れない。背後で「スミカはどうしてそんなエッチなお洋服を着ているのですか?」「えっ……エッチ、ですか……?」「? はいっ」「……カッコよく、ありませんか?」「あっ! 確かにカッコいいです!」「ほっ……そうですよね。フフ、カッコいいから着ているんですよ」「でもエッチですよ?」等と聞こえてきたが、振り向くのは我慢した。
優理家のお姫様は物怖じしなさ過ぎる。天性の可愛さがそれを許すのか、三歳児の特権か。なんでもいいが、仲良し度が上がるのは良いことだ。
小鈴はゴスロリのフリル多めなスカートを指先で掴み、一歩だけ優理に近づく。
「わたしをどうか、小鈴、と……呼び捨てに……っ」
「……それでいいんですか?」
「はいっ。……できれば、その、敬語も止めてくださると嬉しいです……」
「うん。……オーケー、いいよ。よろしくね、小鈴」
「~~っ、はい!!」
たかが名前でこんなにも喜ばれると……と思う一方で、もしも自分が一目惚れした相手から名前で呼んでもらえたら……こうなるかもと思ってしまった。
けれど、この子の想いには答えられないんだよなぁと苦い気持ちになる。
最近の優理はアヤメとリアラのことで割と手一杯なのだ。アヤメは言うまでもなく、リアラには将来を約束してしまった。
加えて実咲にはメイドを自称され、ソニャには娘を自称されてしまっている。灯華は……特にないか。意外にあの人は常識人かもしれない。痴女だけど。
つまり今の優理の人間関係は。
・アヤメ→家族(妹&娘)
・リアラ→許嫁
・実咲→メイド
・ソニャ→娘
・灯華→恩人
という図式が並ぶ。ここに女友達の香理菜とモカが入る。
可愛いお子様二人と美人な嫁にメイド付きな自宅(家は灯華持ち)とか、これ以上ない贅沢ハーレム生活だ。灯華が都合の良い女過ぎて申し訳なくなる。
とはいえ実際のところ、恋愛的に愛を育めそうなのはリアラと灯華くらいだ。アヤメはお子様だし、ソニャもお子様だし。そこに純度100%の恋を求めることはできない。
まあ、いろんな想いが混じった在り方も良いとは思うが……。
「……世界は広いな」
現実を誤魔化すように呟き、思考を振り捨ててスカイタワー内部へ避難する。
雨は止まない。
優理とアヤメの関係が移り変わっても、空は気にせず大粒の涙をこぼし続けていた。でも不思議と、優理の目に映る雨空はどこまでも澄み渡って見えた。
――Tips――
「優理の好み」
最近いろんな種類の美女美少女と遭遇している童貞であるが、そもそもの好みを列挙すると
・大人しい感じの大和撫子系
・優しいお姉さん系
・可愛いと綺麗が両立するとなお良し
・可愛い声、綺麗な髪、むちっとした太もも、ふっくらした唇、柔らかいお腹を持つとさらに良し
・胸や尻のサイズは大きめだと尚更に良し
以上である。
根本的に妹より姉が癖に刺さる男なので、銀色お姫様は妹&娘枠に入り込んだ。「姉枠」は本格的に優理自身が異性を意識してしまうため存在しない。
総合ではリアラがNo1だが、髪だけ、性格だけ、太ももだけ、お腹だけと分ければ色々変わる。
ちなみに「お腹」部門は接触相手が限られるので、今のところアヤメがNo1だ。次世代人類のお腹はいっぱい食べてもある程度ぷにっとするだけに留まる素晴らしさを保持しているのである。
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