第56話
俺たちは煮え湯から逃げるために、また全速力で走ることになった。それも、今度は元来たところを通って、東へ向かうんだ。一度、走ったところだから、火のついた釜土の位置や、それに入っている人型の魂たちの位置までもが、俺には感覚的によくわかっていた。
きっと、音星たちもだろう。
大急ぎで駆け抜ける間中。ずっと、俺の後ろにはシロがいた。シロもさすがに猫だけあって足が速いな。
「火端さん! もっと速く!」
「ああ! わかった!」
音星って、こんなに足が速かったのか?
俺とシロの後ろ擦れ擦れには、まるで追いかけるように、空から大量の煮え湯が降り注いでいく。
俺たちが走り出した後で、ジュウ。ジュウっと、真っ赤な地面が焦げる音がしてきた。
「ハアッ、ハアッ!」
俺は思いっきり地面を蹴って走った。
「キャッ!」
目の前を走っていた音星が急にバタンと倒れた。何かに躓いたんだ。
「音星! 大丈夫か?!」
俺が駆け寄ると、音星の右足を人型の魂が掴んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます