第9話 じゃあそのおっぱいの半分は
まずは城内で魔族の幹部たちを集め、降伏文書を作ってアルティーナにサインさせた。
まあ俺はこの世界の文字が書けないのでリチェラッテに文書を作成させたが。
もちろんリチェラッテは公式文書なんて書いたこともないのでかなりくだけた文章になったらしい。
一、 まぞくしょーしょーアルティーナはシノノメカズヤにこうさんします。
二、 アルティーナの乳姉妹のファモーちゃんはカズヤといっしょにいきます。ひとじちです。
三、 アルティーナの乳母となんばー2のリザードマンさんの小さいむすこは人間管理のもとでひとじちにします
四、 アルティーナの配下は今後人間に危害を加えません。危害を加えた場合はおしおきする
五、 アルティーナのボスはカズヤです。この地域の魔族に対する支配権・軍権・徴税権はすべてカズヤのものであり、アルティーナはそれを代行します。カズヤにさからったらファモーちゃんと乳母とリザードマンのむすこは爪をはいで歯を抜いてからころす
六、 いじょうを守る限りカズヤはアルティーナに対してこの地方の魔族のぼすとしての地位をほしょーします
サイン欄 あるてーな
東雲和哉
まあこんなもんでいいな。
やはり暴力こそすべてのソリューションであるな。
さて次は人間の村だ。
俺たちはアルティーナに手配させた馬車ならぬ竜車に乗って村を目指す。
竜といっても小型のドラゴンで、そんな威圧感はない。一頭に付きせいぜい怒り狂ったアフリカゾウの群れくらいの戦闘力しかないだろう。ドラゴンとしては一番格下のやつに客車をひかせているわけだ。
それも一台や二台ではない。八人乗りの竜車が十五台だ。
だれが乗っているかと言うと、降伏文書にある人質だけじゃなく、その他の魔族の幹部の家族も人質にとっている。戦闘力のない子供ばかりだ。
やつら、人間にたいしては極めて残虐だが、身内にはかなり甘いからな。
それが組織力となって人類の脅威となるんだけど。この世界ではついに人類は完全敗北しちゃったみたいだし。
そして。
逆に、子供を産む装置として献上されていた人間の女たち。
十代から三十代の子供を産める年齢の女性ばかりだ。
連れてこられたばかりの少女は地べたに頭をこすりつけて、
「ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!!」
とめっちゃ感謝してくれたからちょっと気分がよかった。
十年選手くらいになるともう人間性を半分喪失していて、
「いまさら人間の村でどう生きればよいというのか……」
と呆然自失になっている女性もいた。
その辺はおいおい考えよう。
しかしやべーなこの世界。
こんな人数をモンスターに生贄としてささげていたのか。
あのアルティーナってやつ、もう少し強めにお仕置きしてやればよかった。
「っつーかさー。俺が前にいた世界ではあんまりない事態だから知らないんだけど、人間の女ってモンスターの子供を産めるもんなんだな」
俺が聞くと、リチェラッテが答えてくれる。
「あのねー、ほんとにまぐわって妊娠するっていうより、寄生虫に似ているかもねー。ゴブリンとかコボルドとかの下級モンスターがほとんどなんだけど、あいつら女の子のおなかに卵を産み付けて育てさせて産ませるんだよ。ほとんどが卵で生まれてくるし、人間の特徴も受け継いでいないし、人間とのあいのこが生まれてくるわけじゃないんだよねー。まあ母親ってよりも寄生虫の宿主みたいなもんだよ」
ほーん。
そういうことか、じゃあ卵を胎内で育てさせるためのふ卵器みたいな扱いなのかもな。
リチェラッテが言うところによると、魔族が直接産むよりもそっちのが効率がいいらしい。
「よし、じゃあカルア、リチェラッテ、人間の村についての説明を頼む」
「…………なんかすごくろくでもないことになりそうなのであまり説明したくないです……」
カルアは真っ青な顔でそう言う。
「あの……カズヤ様はすごくやり方が……怖いです……怖い……」
カタカタ震えているカルア。黒髪のポニーテールも揺れている。
ついでに言うけど、そのでっかい胸も揺れている。
たゆんたゆんに揺れているのが薄い衣服の上からよく見える。
俺、こういうの、あんまり好きじゃないんだよなー。
だって自分の意志とは無関係に視線が吸い寄せられるじゃん?
どんなモンスターの幻惑魔法にも動じないこの俺がだよ、この視線誘導には勝てないんだよ、悔しいじゃないか。
俺は揺れる素敵なおっぱいであるがゆえに俺をイラつかせるでっかいおっぱいをチラ見しながら、
「ふーん、まあいいけど。じゃあリチェラッテにお願いしようかな。今人間の村ってどうなってるの? 人間って何人くらいいるの?」
「カズヤ、めっちゃカルアのおっぱい見てるじゃーん」
くそ、ばれてる! だからいやなんだよ! リチェラッテは続けて言う。
「えへへーわかるー、カルアのおっぱいってでっかいよねー、あたしもよく見てる。なんなら揉んでる」
「それはいいな」
「一緒に揉む?」
「揉む」
俺が言うと、パッとカルアが顔を上げて目を剥く。
「ダメです! リチェラッテ、なにいっているの! バカリチェラッテ! 小さいころからの友達だからって言っていいこと悪いことがあるの!」
まあ冗談に決まっているのにそんなに怒らなくてもいいじゃないか。
俺が好きなAVのジャンルはバーチャルイチャラブエッチとかそういうのだから、無理やりは嫌いなんだ。
リチェラッテがニコニコ笑顔で、
「でもそのおっぱいでっかいのってあたしのおかげじゃん。おっぱいは他人から揉まれると大きくなるって聞いて、十歳のころから二人して揉みっこしたおかげでしょ、あたしの成果じゃん。じゃあそのおっぱいの半分はあたしのといっていいよね? カズヤ、右のおっぱいと左のおっぱいどっちがいい? あたしの分のカルアのおっぱい上げるよ」
「リチェラッテの分の私のおっぱいでどういうこと? っていうか子供のころお互いに揉んだのにリチェラッテはぺったんこのままじゃない、ってことはあの情報がガセだったってことになるから論理的には私のおっぱいは全部私のものでしょ!」
「じゃあ先っぽだけでいいからちょうだい」
「一番大事なとこ! そこが一番大事なの! なにはしっこみたいな言い方してるの!?」
うーん、これ、俺、口を挟んでも大丈夫かな?
モンスターとかは怖くないんだけど、非力な女の子の口喧嘩に口を挟むのはこわいなー。
「あのー、すみません。それで、あの、人間っていうのは今どのくらいの人口いたりするんでしょうか……?」
ちょっと丁寧な口調になっちゃった。
「あ、その話してたんだった」
ハッとした顔をするカルア。
「ええとですね、さすがに全土の人口まではわかりません。わたしたちの村でいうと、今百人くらいだと思います」
「百人しかいない村で二人も生贄に出したのか?」
「うちの村の割り当ては数年ぶりだったので。その規模の村が数十ほど点在していますが、十キロほど先にはこの辺りで一番大きな地方都市があります。そこの教会の司祭様が実質の指導者となっています」
「王様とかそういうのはいないの?」
俺が聞くと、カルアは首を振って答える。
「人間の国は魔族との戦争に負け、王様は十数年前に殺されて、人間の国は解体されてしまいました。かろうじて教会だけが組織力をもっているのです」
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