腹這いのやもり

朝起きつけに

目覚まし時計を落とすと

そこに潰れたやもりが一匹

まだ小さくて

悪いことをしたと思う

気を取り直し

視線を斜めに上らせると

そこに膨れたやもりが一匹

もう大分肥えていて 

人間に寄生してきた意地汚い顔で

こちらを覗いている

手を払えば

腹這いでのそのそと逃げ出したそれは

途中で落ちて背を打った

痺れて腹を見せる様に

意図せぬ服従が目に見えてわかり

肺が詰まった



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