殺し屋は神に祈らない
蕾夢雫姫
無罪
プロローグ 堕天の右腕
いつからだろう。
私は、天界にいた。
目の前には、私を嘲笑うように佇む影があった。
照らされて白色に輝くナイフを、私は右手で持ち、影に向けた。
実際に影ができているわけではない。むしろ、眩しいレベルだ。
でも、影だ。
それは、精神的な意味での、影だ。
私の殺すべき相手。
私が愛を捨てて殺すべき相手
私が私に戻るため殺すべき相手。
「あれ…」
いつの間にか私は、欠けていた。
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