500人の詩人が次々と入場・アステリオルニス狩り・その他の観察

古土

(おれが今日ここに来たのは……)

おれが今日 ここに来たのは


偶然が重なった結果というべきで


なにも証しがあったからではない


ただ毎夕 鳥たちの喃語に耳を傾け


河底をあるく幾千の死馬の群れを率いたおれらであってみれば


やはり単なる偶然ではないのだろう




おれらは今日 言葉を減らしに来た


灰の中から凍ったエロースを探り当て


苔の胞子を散らしていく


芽吹くころ おれらは生きてやいないが


はやくも 


北方の石の名と


春分の正確な複製とが


リストから失われていることに気づく




おれは今日 詩をうたいに来た


書くことと読むことを問うのだから


その力学はおよそ人のものではない


ただまばたきする間の軌道に 


おれは 


いま世界がその中にある穴を


血中のマイクロプラスチックを


見出す






──────────────

初出:https://wagaizumo.hatenablog.com/entry/2023/09/22/175241



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