第22話 ダンジョンの謎!?

きゃるる~んと、突如現れたロリ女神ちゃんに、俺達は言葉もなく、ただ見つめるしかできなかった。


「ん?どうしたの?私の格好にメロメロ?」


「あ、いや、メロメロと言うか、その……。」


俺は何と答えようか逡巡していると、ロリ女神ちゃんは嬉しそうに話しだす。


「うんうん、わかる、分かるよぉ。この女神ちゃまの魅力に声も出せないんでしょ!」


うんうんと嬉しそうに頷くロリ女神ちゃん。


「いや、まぁ、その……魅力的なんですけどね……って言うかお触りしたいです。」


「だぁーめっ!No,Touch!って言ってるでしょ?」


……うぅ、すごく惹かれるのに……。


「ところで、、今回何でそんな恰好を?」


「ウフフっ、聞いちゃう?それ聞いちゃう?」


……うぜぇ。でも可愛いから許す。


「えっとね、イケメン勇者がね、言うのよ。『やっぱり、エロスだよなぁ。ムチムチプリプリのバニーガールのおねえさんなんかいいよなぁ』って。だからバニーガールで攻めてみようと思うの?どう?色っぽいでしょ?欲情する?欲情したでしょっ!」


どやっ!という顔を掏るロリ女神ちゃん。


というより、ムチムチプリプリっていつの言葉だよっ!


……と言うか……。


俺は残念な子を見る目でロリ女神ちゃんを見つめ、そして徐に事実を突きつける。


「あのですね、ロリ女神ちゃん、その恰好は、イケメン勇者の言う「バニーガール」からほど遠いですよ?」


「何でよっ!ウサギの女の子だったらバニーガールでしょっ!」


「いや、まぁ……そう言いきられたらそうなんですけどねぇ。」


俺はロリ女神ちゃんの首元に手を触れる……うーん、モコモコだ。手触りもサイコー。


そう、ロリ女神ちゃんは、バニーはバニーでもを着ていたのだ。


ある意味、「バニーガール」と言えなくもない、顔だけ出した全身着ぐるみ……モコモコとした感じがとても愛らしく、お持ち帰りしてモフモフしたい欲求が抑えられない。


おれだったら、このロリ女神ちゃんで満足なんだけど、イケメン勇者の言っている「バニーガール」は正統派の、ウサギ耳をつけた、レオタード網タイツの事なんだろうなぁ。


そして、このロリ女神ちゃんでは絶対に似合わない姿。


そう告げると、ロリ女神ちゃんは「そんなぁ……」とその場に崩れ落ちる。


「俺はこっちのロリ女神ちゃんが好きですよ」


俺は、うんうんと頷きながら、ロリ女神ちゃんの頭を撫でる。


「うぅ……童貞に慰められるとは、私も落ちたものね。」


「童貞ちゃうわっ!……違わないけど。」


「ご褒美に、ずっと童貞でいられる祝福を授けてあげる。」


「やめろっ!それ祝福じゃなくて呪いだろっ!」


俺は慌ててロリ女神ちゃんから距離を取る。


「ところで、今日は何の用で来たんだよ。」


このままでは変な呪いをかけられかねないと見た俺は慌てて話題を変えることにする。


「あ、うん、この間話しそびれた事なんだけどね。魔物の襲撃についてなの。」


「あ、あぁ……。」


俺は今までの少しふざけた雰囲気を消して、真面目に話を聞くことにする。


何と言っても村の存亡にかかわる事なのだ。しかも、当初の予定ではあと半月ほどしか時間が残されていない。


「ん~、あのね、イケメン勇者が言うには『ゴブリンキングやオークキングってザコだよなぁ、ザコ。今更この俺様が何でそんなザコを討伐しなきゃならんわけ?』って。だからそんなをこっちに送り込もうとしたんだけど……。」


「ちょっとマテ。」


「ん??」


「お前は、そのイケメン勇者の言う事を真に受けたのか?と言うか、そのイケメン勇者どんだけつぇぇんだよ!」


「あ、うん……まぁ……。」


視線を逸らすロリ女神ちゃん。


「……なぁ、正直に話そうぜ?そうじゃなきゃ、お持ち帰りしてモフモフしてペロペロするぞ?」


「その顔キショいから近づけないで……って、わ、分かったわよ、話す、話すから……その口近づけるのやめてぇ……。」


慌てて飛び退くロリ女神ちゃん。


本人は俊敏に動いている面持ちなのだろうが、着ぐるみのせいで、ぽてぽて、歩いている感じになっていて、それがまた可愛い。

何と言っても、普段の計算ではなく、素でやっている所が愛らしさを爆上げしている。


そして、怯えながら話すロリ女神ちゃんが語った内容をまとめると、こんな感じになる。


女の子と遊ぶことに夢中になっている、イケメン勇者。


各国で溢れ出す魔物の軍勢。


イケメン勇者に戦う事を進めてみると、「そんなザコの相手なんかしていられるか!」と一蹴。


まぁ、ザコなら下僕に任せても大丈夫か、と、俺に丸投げすることに決めたロリ女神ちゃん。


その後、勇者の周りにいる者達や、その世界の他の冒険者の話を聞いてまとめてみると、勇者がザコと言った相手は、雑魚ではなく、それなりの強さがある。実際イケメン勇者でも手こずる相手だという事が判明。


これは少しヤバいかも?下手すれば下僕からの信仰を失うかも?と焦ったロリ女神ちゃん。


言い訳と状況改善のために慌てて姿を現した……今ココ。


という訳らしい。


なんでも、俺のロリ女神ちゃんに捧げている信仰心は、なんだかんだと言ってかなり大きな力を持っているらしく、それを失うと、イケメン勇者に貢ぐ力の大半を失うそうで、なんだかんだと言っても、俺の事が大事なんだとロリ女神ちゃんは言う。


ロリ女神ちゃんに大事と言ってもらえるのはいいのだが…………って言うか、間接的に俺がイケメンに貢いでるって事になるのか?


なんかモヤモヤする気持ちを抱えつつ、俺はひとつの疑問をロリ女神ちゃんにぶつける。


「なぁ、話は変わるんだが……この村の側に突然ダンジョンが出来たんだが、何か知ってるか?」


「あぁ、アレね。この間来たときに、ダンジョンになりかけの丁度いい歪みがあったからねぇ。ちょっと色々弄って、魔物ポータル用の足掛かりにしたのよ。上手くいくかどうかわからなかったけど、その様子だと、ちゃんとダンジョンとして機能しているみたいね。」


「お前のせいかぁっ!」


俺は思わず力任せにロリ女神ちゃんを叩く。


「なにするのよっ!」


「それはこっちのセリフだぁッ!大体、あんな致死性の高いダンジョンを村の側に作る方が悪いっ!」


「何よ何よっ!私だって、悪いと思ったからこうして忙しい合間を抜けてやってきたんじゃないのっ。大体、私が何もしなくても、放っておけば、コントロール不能の迷惑ダンジョンが発生してたのよっ!感謝されても殴られる筋合いはないわよっ!」


「ふざけんなよっ、コントロール不能だぁ?………えっ、コントロール不能……ダンジョンってコントロールできるのか?」


「ツンっだ。」


「あのぉ……可愛い可愛いロリ女神ちゃま。この哀れで無知なる下僕に、教えをお願いできませんかね?」


俺は揉み手をし、下出に出てみる。


「……ツンっ。」


「無理にツンツンしようとしているその姿も可愛いです。ペロペロしていいっすか?」


「ダメに決まってるでしょっ!」


慌てて俺から距離を取るロリ女神ちゃん。


普段の計算したあざとさも可愛いが、こうして素が出ている状況もたまりませんなぁ。


「うぅ、下僕がキモイ……。」


「そんな、キモイだなんて……ありがとうございますっ!」


俺が頭を下げると益々ロリ女神ちゃんの表情がゆがむ。


……まぁ、キモオタムーブはこれくらいでいいだろう。


「それでですねぇ、可愛くも慈悲深いロリ女神ちゃまの御慈悲にすがって、ダンジョンのお話を聞きたいのですが……。」


あくまでも下出に出つつ、心の中では、教えないとマジにペロペロするぞっ!と脅してみる。


「……はぁ……分かったわよ。ここで下僕の信仰度をあげておくために来たわけだしね。」


そう言いながらロリ女神ちゃんは、向こうの魔物をダンジョンに送り込むようにしたこと。イケメン勇者が「雑魚」といった魔物をなるべく浅い階層に配置したことなどを話す。


「……だからゴブリンキングが1階層でウロウロしてるのか。」


「ウン、でも、ゴブリンキングってザコじゃないんでしょ?」


「あぁ、正直言ってボスクラスだ。」


「はぁ……やっぱりそうなのね。」


なんでも、イケメン勇者の周りをうろつく邪魔なビッチに、色々と言われたそうだ。


ロリ女神ちゃんは、ビッチの言う事なんか聞く気はなかったけど、不安になったこともあって様子を見に来たとのことだった。


「まぁ。そう言う日もある。」


落ち込むロリ女神ちゃんの頭を撫でながら慰める。

しかし、イケメン狙いのビッチには感謝だな。まぁ。イケメン狙いというだけで、俺とは相容れないだろうけどさ。


「それでね、こういうのを用意してみたの。」


ロリ女神ちゃんは、拳大の水晶玉みたいなものを見せる。


「これは?」


「ダンジョンコア。簡単に言えばダンジョンをコントロールすることが出来る核になるものよ。」


「それはっ!」


素晴らしい、と手を伸ばすが、ロリ女神ちゃんは素早く手を引っ込める。


「これ渡したら……今までの事、許してくれゆ?」


上目遣いで、瞳を潤ませながら聞いてくるロリ女神ちゃん。


いつもの計算されたあざとさだ……わかってはいてもこの破壊力……。


「許すに決まってるじゃないかっ!」


……いいんだよ。チョロいと言われようが何だろうが、可愛いは正義だ。


というより、なんでイケメン勇者は、この可愛い子を袖に出来るのか、理解に苦しむ。


「うんうん、それでこそ我が下僕よ。詳しい使い方はメモを見てね。では、これからも、我にその信仰心と忠誠を捧げるがよいぞ。」


ロリ女神ちゃんはそう言って唐突に姿を消す。


その場には、拳大の水晶玉と、俺を毛虫を見るような目で見つめる4対の視線だけが残されていた。

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