身重

存在しない座標に

ピントを合わせて

存在しているかのように

どこにもない身体を

無理やり肉として

存在させているかのように

とうの昔に食わされた

屈辱に孕まされていま

怒りが腹を蹴り上げている

いずれ轟く産声が

私の腹を割るのだろう

私の声をかき消すかのように

私の声を打ち消すかのように

震える脚の間から

今度は何が流れてくるの

肉というもの以外で

ねえ。

残されたものなどなにもない

どこにもなにもないのだと

確かに強く私に言って

ねえ、

あなた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る