数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました
ネコクロ【書籍7シリーズ発売中!!】
第一章
プロローグ
『――
『すみません、私は誰とも付き合う気はないので』
顔の整った、美男子といわれる高身長のイケメン男子が、その存在すら薄れるほどの超絶美少女に、振られた光景。
それを見ている、多くの視線があった。
「うぉ……! バスケ部キャプテンで、女子に大人気の
「あの先輩でも無理なんて、いったい誰なら付き合えるんだ!?」
「てか、これで何十人目だよ!?」
校舎裏で行われる、今や恒例となった告白劇場。
学校一人気な女子――
数々の男たちが告白をしてきたものの、全員が振られているらしい。
ならば諦めればいいと思うが……学校一人気というのは
噂では、中学の修学旅行で東京に行った際に、アイドルやモデルの事務所にスカウトをされまくったとか。
諦めの悪いところは今でも連絡をしてきていて、黒雪さんは断り続けているらしい。
そして何より、性格がとてもいいのだ。
明るくて誰にでも優しいし、男女
そんな子が、モテないはずがなかった。
「誰なら――じゃなく、誰も付き合えないってのが、答えだろ?」
俺――
黒雪さんははっきりと、『誰とも付き合う気がない』と言っているじゃないか。
どうしてみんな、彼女の言葉を信じようとしないのだろう?
淡い期待なら、やめたほうがいい。
「……また白井かよ。誰もお前に言ってないんだよ」
「そうだそうだ、話に入ってくるんじゃねぇよ!」
「お前みたいな付き合い悪い奴、お呼びじゃねぇんだよ!」
俺が話に入ったことが気に入らなかったらしく、
どうやら俺は、嫌われているらしい。
一年生の頃から付き合いは悪いし、口も悪いからそれも仕方がないのだろうが。
「わかったわかった」
あまり取り合うと熱が増すので、俺はてきとーに流して帰ることにした。
そうして、下駄箱に向かうと――。
「はぁ……」
溜息を吐きながら靴を履き替える、黒雪さんと出くわした。
鞄を取りに戻っているんだろう。
「大変そうだな」
「あっ、白井君。もう帰るの?」
声をかけたことで俺に気付いたらしい。
疲れた表情は隠れ、温かい笑顔を向けてくれた。
「あぁ、やらないといけないことがあるからな」
「そっか、気を付けてね」
「黒雪さんもな」
同じクラスなのでこういった話はするのだけど、それ以上踏み込んだ会話をする仲ではない。
溜息については触れてほしくなさそうだったので、俺はもうそのまま帰ることにした。
――本来であれば、人気者と嫌われ者という対比の立場にいる俺たちは、深く関わることもなく卒業をするのだろう。
少なくとも、この時の俺はそう思っていた。
それなのに、まさか――そんな俺たちが、カップルになるという運命のいたずらが起きるなど、この時の俺は知る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます