【31・任されました!】

「それで?僕に任せるってなに?」



 僕は父さんの期待に応えようとしっかりと話を聞くために話を続けようとした。

 母さん、いい加減に戻ってきてよ……。



「あー……。なに、難しい事じゃない。実は、国王陛下からリューリとアリアの従魔契約についての話を聞きたいとの事で登城の勅命が来ているんだ。ここから王都まで7日間はかかる。リューリに任せたいのはその工程の宿の手配、必要物資の準備、人員調整だ。……出来るか?」


「……こ、国王陛下から……」


「……面倒だねぇ」



 ちょっと、アリア。国王陛下からの勅命に面倒って。ここに居るのが、僕たちだけだからいいけど、それ国王近辺の人に聞かれたらマズイ事になるって。

 それよりも、父さんから言われたやることを考えるとなるべく早く動いた方がいいかも。



「父さんの期待に応えられるよう頑張ってみる。確認したい事あるけどいい?『……アリア、僕と父さん以外に乗せて行くって出来る?』」


『……出来なくはないが、したくないねぇ。私は馬じゃないんだよ?』


『分かってるって。確認しただけ』



 念話でアリアに話すとやりたくないとの事。つれないなぁ……。



「あぁ、任せたぞ。ん?何を確認したいんだ?」



 僕たちはソファにお互い向かい合うように座り直すと、念話は父さんに聞こえないので、一旦止めて父さんと話を始めた。



「父さん、今回呼ばれたのは、僕、アリア、父さんだけ?」


「あぁ、だから、荷物はそこまで必要じゃないな。侯爵も立ち会うらしいが、あちらは別口だから気にしなくていい」


「それなら、なるべく安く済ませようか!」


「……どういう意味だ?」



 父さんの話に僕は思い付いた事をそのまま話した。だって、せっかくの父さんとの7日間。色々と聞きたいし丁度いい。



「僕たちライヘン家は元々、冒険者だよ?なら冒険者らしく行きたいと思って!あ、もちろん、馬車とか荷物は僕のマジックボックスに入れて行くからね?」


「……くっくっくっ、ははははっ!」


「まぁ!ふふふっ!」



 僕の提案に両親共に笑い出したよ。おかしな事言ったかな?首を傾げていると、アリアが念話で話しかけてきた。



『はぁー……。そんな事言うのアンタぐらいだよ。貴族って言ったら馬車移動しかないんだよ?』


『へ?あ、そっか。でも、それだとアリアは小さくなったまま馬車に乗るか、外から馬車に並走するかだよ?』


『…………どっちもいや!ボッチもイヤだけど、このフェアリアルキャットの私がなんで馬車になんか乗らないとならないのさ!』



 ………そう言うと思ったよ。だから、アリアと父さんにそれぞれ確認したんだ。



「……ダメかな?移動はアリアが父さんと僕なら乗せても良いって言ってくれたから大丈夫だと思うんだけど……」


「くくっ……ははっ……だ、大丈夫。問題ないぞ。ただ、いきなり変わった提案だから思わず……な?」


「えぇ……ふふっ、確かにそれなら安く済ませられるわね」



 少しずつ笑いが収まってきた父さんがそう言うと、母さんも同じだったのか頷いていた。



「アリア殿は本当に良いのですか?」


「ふん……。アンタとリューリだけならね。ただし、私は馬じゃないんだ。勘違いするんじゃないよ?」



 どうやら、皆、僕の提案でも問題ないみたいでよかった。若干、不貞腐れてるようなアリアには申し訳ないけど。



「しかし、王都の近くになったら馬車に乗り変えるとして、マジックボックスにそんなに入るのか?」



 心配そうに父さんが聞いてきたけど、問題ない。だって、ねぇ?



「ブラックサーペントの氷漬けが丸々入ったから問題ないよ」



 あれには最初、僕も入るかビビったけど案外あっさり入ったから、馬車や自分達の荷物ぐらい問題ない。



「あー……うん。聞くのが野暮だったな。なら、移動はそうとして、宿はどうする?」


「宿も冒険者に混じって済ませるけど、アリアが大丈夫な所にするよ」


「ふむ……久しぶりの冒険者スタイルか。いいんじゃないか?」


「ありがとう!んじゃ、そんな感じで進めるね!」



 よし、父さんから許可取れたしなるべく節約日程で準備しようと!

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