【27・3日振り】
二人して先程の騒ぎから精神的に疲れた為、小高い丘の上に休憩がてら移動して、リューリはそこで仰向けに寝そべり、私は伏せしたまま毛繕いを始めた。
「あー……風が気持ちいい……」
「うぅ……。 やっと、落ち着いてきた……」
本当に虫は嫌。 よく、フェアリアルキャットはあれの蜜を舐めてたよ。……美味しいのはわかるけどね? 私は無理。 やるなら見つからない内に殺る。 これ絶対。
「……ポイズンニードルの蜜ってそんなに美味しいの?」
「…………取らないからね?」
「いや! あんなに追って来るくらいなら取らないよ?! でも、気になるじゃん」
「……美味くなければ、私は食べないさね。 私みたいな長命種になると食べる事やダンジョンに行ったりして楽しむのが、ほとんどさ」
「へぇー…そんなもんなのかなぁ」
「人間は寿命が短いからねぇ。 エルフの奴らも美味い物とか知ってるさ」
心地よい風に2人して微睡みながらポツリポツリと会話しながら、のんびりとする。
「はぁー……。エルフかぁー……。綺麗だろうなぁ。ねぇ、ドワーフや獣人も居る?」
「ドワーフや獣人は確か国を作ってるはずさ。ただ、この国からは遠いだろうねぇ」
「会ってみたいなぁ……。 それこそ、ファンタジーって感じがするじゃん?」
「確かに……。私は記憶にはあるが、私自身としては会った事ないから会う機会があれば、会えるさ」
このまま昼寝でもしようかと思ったが、おもむろにリューリは立ち上がり帰ろうと言ってきたので、仕方ないと思いながら私も立ち上がり、リューリを乗せると緩やかに走り出し街へと向かった。
♢♢♢♢
街に着くと日は傾き初めていたが、私とリューリに門番は気付くと大きく手を振り出迎えてくれた。
「坊ちゃん、おかえりなさーい!」
「ただいまー!」
「聞きましたよー? 一山向こうの森にまで行ってたって、なんで教えてくれ無かったんですか!」
「いや、言った所で連れて行けないし、あくまで、アリアへの依頼だったから僕は何もしてないよ!」
「怪我はしてないですか?!」
門番はリューリを心配してか、身体じゅうを触り確認しているが、私は話が長引きそうだと思いリューリの袖を噛み引っ張った。
「ねぇ、冒険者ギルドに報告に行くよ」
「わわっ! ちょ、引っ張らないでよっ」
「そこのあんた、私が居て、たかがブラックサーペント狩りでリューリに怪我なんてさせる訳ないだろ?」
「あ、アリア様!すみません!」
門番にそう言うと、私はリューリを引っ張りながら冒険者ギルドに向かい歩き出した。
後ろで、門番がブラック・サーペントォォっ?!と驚き叫んでいたのを聞き、うるさっ!と思いながら。
「もー……。 袖を引っ張らないでよ」
「あのまま話し込んでたら暗くなっちまうよ。ブラックサーペントの解体まで今日中に依頼するんだよ?」
冒険者ギルドに入る前に私は小さくなるとリューリの後ろを歩き室内に入ると、受付窓口へとリューリは向かうといつものおばちゃんが居て、私達に気付くと笑顔で迎えてくれた。
「えっと、討伐依頼完了の報告に来ました」
「おや、おかえりなさい。怪我は無いかい?」
「はい!大丈夫です。あの、ギルドマスターは居ますか?」
「あぁ、奥に居るからちょっと待っててね?」
そう言うとおばちゃんはギルマスを呼びに奥に行った。
少し待つとギルマスとおばちゃんが戻って来て、詳しく話を聞きたいと前と同じように奥の部屋へと案内された。
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