第46話 一枚のメモ

 昨日、色々な公募を見たあとで、改めて自分が今どんな物語を形にしたいのかをつらつらと考えた。


 ちょうど米津玄師さんの新しいアルバムが発売された日でもあり、各曲の解説を御本人のインタビューで聞きながら、イメージが膨らんでいった。


 私の個人的な小説テーマに博物館がある。ずっとこれで書き続けられればいいのだが、最近はもうちょっとでも出てくればいいかと日和っていた。

 

 むしろ子どもの不登校などで最近目に止まるのは不登校関係の本や情報になりつつあり、なんとかここあたりを組み合わせられないか、と思いつつも深堀りできずにいた。


 またテーマ優先にするか、キャラクター優先かでもふわふわと取り止めなかったのだが、キャラクター小説というのを見て、ふとどんなキャラクターを出したいか、もガリガリと書いてみた。


 とりあえず思いつくままに、小さなメモ帳一枚で書き続けていたら、なんとなく輪郭めいたものが出てきた。


 不登校というとどうしても子どもが主人公になる。だが今の自分は子どもではなく親にフォーカスしてみたいと思っていた。


 親の会などにも顔を出すようになり、それぞれの悩みと彼ら彼女らの表情が皆同じような傾向があることがずっと引っかかっていた。


 なぜこれほど子どもが不登校になると親はしんどくなるのか。


 きっといろいろな原因も理由も出てくるけれど、不登校の子どもの冒険とは裏腹に、親たちの物語、しかもこうエネルギッシュでワクワクする物語というのは、どうもピンとこない。


 子どもが不登校になったら親は泣き崩れなければならないのか? 結果的にそういうルートを通るとしても、その先は子どもも親も家の中で破滅して終わり……などでは決してない。


 「明るい不登校」を目指す人たちもいるのが、令和の不登校世界である。葛藤を乗り越えたあとどうするか。


 フリースクールの物語も子供向けのジャンルでは出てきたが、では大人向けエンタメの世界ではどうか? 


 なんてことを考えながら、自分の体験をそのまま書いても全く楽しくもワクワクもしないので、どうせなら自分が楽しく書けるような内容にしたくなった。


 キーワードは「がらくた」

 ジャンク・ミュージアムなんて、結構矛盾した感じでいいなぁと勝手に思って検索してみた。


 よしよし、とりあえず同じタイトルの小説や漫画は存在しなさそうである。


 『クローディアの秘密』の元のタイトルは『ベシル・E・フランクワイラー夫人のごちゃまぜファイルから』だけど、このごちゃ混ぜとジャンクはなんとなく通じる気もする。


 なんとなく柄の長いスコップを武器のように持つ屈強な女性像が浮かんだのだけれど、調べてみたら今どきのスコップは本当に武器になるようで、多機能スコップ(軍用)とか出てきた。


 接近戦にスコップ最強説まで出てくると、バトルしないとまずいのか? という気分になってきたけれど、そういえばあまりバトルものも書いたことがない。


 新境地で新しいチャレンジをしてみるのもありかもしれない。それが自分が書きたい内容かどうかはさておいて、地味だ地味だと言われていたので、ちょっと派手な感じの話にできないかと更にいじくり回してみるつもりである。

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