第34話 帰省準備

 明日から規制のため、準備中。とはいえ、関係先がここ二か月ほどで一気に増え、さらに臨時の工事やらなんやらも入ってしまい、滞っているやり取りを片付けることからスタートになった。


 なにせ、家にいる時間が減った。子供の預け先が見つかったのはめでたいが、送迎は親である。近場なら送ってすぐ帰ってくれば良い。けれど片道30分かかると往復で1時間。一度戻ってきてまた迎えに行くとなるとそれだけで2時間がかりだ。


 滞在時間が4時間以上になればそれもありかもしれないが、3時間というのは微妙な時間なのだ。ゆえに、一度送っていったら近場で時間をつぶし、迎えに行くのが一番スムーズになる。


 そんなわけで、預け先もほぼお盆休みに突入の今が、ようやく家のことに取り掛かれるチャンスでもある。


 そうはいっても昨日の地震もさすがに驚いた。実家のすぐ近くだったのだ。速報の地図では少しずれているとはいえ、震度4は確実。即座に家族Lineで安否確認をしたが、兄弟家族はすぐに連絡がきたものの肝心の実家が返信がない。


 しばらく待ったが気になるので電話をしてみた。Line通話なので、つながれば電気とネットワークは無事となる。ひとまず老夫婦ともに無事。電気ガス水道も止まってない。時間的に夕食時間と踏んで、もしコンロに火をつけていたらと粗方想像したが、運よくコンロの電池が切れていて入れ替えていた時に起こった地震だったらしい。


 横揺れがあまりなかったというのも幸いだったかもしれない。とにかく驚いて心臓がドキドキしているという母と、後ろから何かしゃべっている父の声を聴いて電話を切った。


 南海トラフにはかかっていないと思っていたけれど、昔から地震の多い場所でもあり、実家のあたりは高台でも、津波被害も川沿いにあり得る地域なのでひやりとする。


 南も北も親戚や知り合いがいるため、たまたまこれまで直接被害があったなどは聞いたことがないけれど、生まれる前は自衛隊にいた祖父が被災地に行ったという話もあるため、よそ事ではない。


 そうはいっても、毎回心配してもメンタルが持たないので、なるべく平静を装うが、こうも連続するとひやりとすることもあるのが常のこと。


 何もない平時でもいろいろなことがあるのに、世の中は目まぐるしく動いていく。結局、すべてに心を配っていると、できることもできなくなってしまう。


 そんなことを思いつつ、夏は戦争の特集も多く、沖縄やホロコーストの博物館で見た展示や映像の思い出がよみがえる季節でもある。


 高温警報が連日続く関東から、青森への帰省は天気予報チェックから始まる。夜は25度を下回る日もあると知り、パジャマは長袖でもいいだろうか? などと考えながら荷造りを始めなければならない。

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