chap.1 転生~幼少期
ep1.おっす!わたしアレクシア0歳…って嘘でしょ!?
■後神暦 1305年 / 春の月 / 獣の日 pm 03:15
――おぎゃあおぎゃあ…
…赤ちゃんの泣き声?なんで?待って、思い出そう。
えっと、今日は家族で旅行に行くことになってて、朝から車で隣の県に向かってたのよね。わたしは旅行の間にあのクソゲーの攻略情報を集めようとしていて、お母さんに注意されて、それから…
そうだ…峠で事故ったんだ!
え?え?じゃあここって病院!?お父さんとお母さんは!?
赤ちゃんの声がするってことは同室の人がいるってことかな?
暗くて何も見えないんだけど…もしかして失明したの!?
噓でしょ…料理も、マンガも、ゲームも、もうできないってこと?嫌過ぎる…
しかも最後にやったゲームがクソゲーなんて…あんまりだよ神様。
――は?
うそうそ!?声も出ないの!?
詰んだー、16歳で
ちょ、ちょっと待って、混乱してて気づかなかったけど、
もしかしてこの赤ちゃんの声って…わたし!?
あ…光が…良かった、失明したんじゃないんだ…って眩しい眩しい!!
「*****! *****」
は?何語?男の人みたいだけどお医者さん?
英語ではなさそうだけど、発音が独特で全然わかんないよ。
ココって日本の病院でいいんだよね?ベビーボイスになってる説明求む!
――おぎゃあ
ダメだ…やっぱり、おぎゃることしかでない…
「****、****。アレクシア…」
あ、今のはちょっと聞き取れた。アレクシアって…クソゲーのヒロインじゃん。
勘弁してよ、今いっぱいいっぱいなんだから、アレのことなんて思い出させないでよ。
んーやっと目も慣れてきた。なんかぼやけてるけど、金髪の女の人?
「アレクシア! ****~」
男の人はなんかデレデレに甘ったるい喋り方してるな、なんかバカにされてる気分。
こっちはワケわかんなくてムカついてきたのに、余計に腹立ってくる。
どんな顔してるんだ?どうせマヌケな顔してんだろ?
おぎゃ!?
ちょちょちょちょ!待って待って待って!!
ちょっと若いけど、この男の人ってモリスじゃない!?
あのクソゲーのヒロインの父親、モリス=リュミエル!!
ヒロインにデレデレの甘々、どんなアホくさい選択肢を選んでも喜ぶ、褒める、称えてくる、プレイヤーから「全肯定パパン」と呼ばれるむちゅめラブおじさん…
目の前には赤子を見る優しい顔の
いや、わたしのお父さんとお母さんはバリバリの日本人だよ、その娘のわたしも当然に純日本人、16歳、女子高生、だけど…だけど…
もしかして、まさか、そんな…
「アレクシア~」
「アレクシア~」
わたしは渾身の力で叫んだ、しかしおぎゃりが虚しく木霊した。
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