第32話 王弟

――王国では現在一つの問題が発生していた。

問題とは原因不明の王の病と、それに伴う王位継承権を巡る争いである。

これは本来であれば正統となる王位第一継承権を持つ王弟、ギルダンスタインではなく、十一歳の王女クレシェンタを王が指名したことに端を発した。


王弟ギルダンスタインは奴隷を弄び、淫らで倫理に反した享楽を好む異常者である。

彼を自身の後継者――次代のアルベラン国王とするにはあまりに行状が悪いとして、それを王自身が嫌ったのだ。


王が絶対なる権力を有する王国においては、何よりも王の意向こそが優先される。

とはいえそれは所詮建前――だからと言って強権を振りかざせば反発はあるし、無理が行き過ぎれば反乱が起きる。

王の指名は本来覆すことができぬものであるが、一定数の反発があれば実際的にはそれを成立させることもできず、王宮は今、王弟派と王女派の二つに分かれていた。


「まさか殿下ご本人がお見えになるとは……」


ボーガンは片膝をついて面を伏せる。

眼前にあるのは二十と少しに見える男であった。

金の髪を後ろに撫で付けた美青年、というべきだろう。

煌びやかな装飾の施された細剣を腰から外して机の上に、目立たぬ色の外套をカーペットに放り捨てるとソファに座り、足を組む。

中には赤と黒に金の装飾があつらえられたジャケットと、白いズボン。

金の腕輪のついた左腕を上げ、口を開く。


「顔を上げて座れ、ボーガン。俺は英雄クリシュタンド将軍に会いに来たわけじゃない。単に知己と話をしに来ただけだ。王族に対する礼は必要ない」

「……は。ありがたきお言葉です」


ボーガンは立ち上がり、男は対面のソファを示す。

王弟にして王位の第一継承権保持者。

ギルダンスタイン=カルナロス=ヴェル=サーカリネア=アルベラン。

王国大公爵にして元帥――辺境伯であるボーガンからしても遙か高みの存在であった。

若くは見えるものの、魔力を扱う貴族にとって外見の年齢はそう当てにならない。

その歳は三十の半ばを過ぎていた。

魔力保有者は基本的に肉体の最盛期が長く続くため、四十の半ばを超えるくらいまでは明らかな老化が訪れないことも珍しくはない。


「こうしてまともに顔を合わせるのは十五年にもなるか」

「はい、殿下。帝国とのあの戦以来です」

「はい殿下、もいらん。俺とお前の仲だろう」


ボーガンは頭を下げる。

内心では面倒なことになったとは思っている。


王宮での派閥争いには興味はない。

若い頃にはそうしたものへの憧れを抱く時期もあったが、歳と共に失われた。

こうした王宮政治とは関わり合いになりたくない、というのがボーガンの本音である。


「まずは戦勝を祝おう。秘蔵の酒を持ってきた」

「は」


当然のように人払いがなされ、部屋にはボーガンと二人。

雑にギルダンスタインはワインをグラスに注ぎ、テーブルを滑らすようにボーガンへ渡す。

悪名高いがギルダンスタインは極めて実際的な人物で、無駄な作法の類を嫌う。

立場ある王族であるにも関わらず、酒を注いでやる程度のことを何ら気にはしていない。


ボーガンはそれを受け取り、ギルダンスタインがグラスを上げるのに合わせ、それに倣い。

そして彼がグラスに口付けたところで、自らもまた口付けた。

秘蔵というのは本当であるらしく、深みのある良いワインであった。


「よほどの戦上手だなお前は。あの状況から北にいたお前が帝国を食い破るとは思わなかった。お前を将軍へと推薦したことは間違いではない」

「いえ。優秀な部下達のおかげです」

「謙遜をするな。お前の働きは昔によく見た」


十五年前の大戦。

ギルダンスタインは大軍を起こして帝国の西を攻めた。

当時はウルフェネイトが帝国と王国の境界であり、その版図を拡大させたのはギルダンスタインの功績。行状は悪くともギルダンスタインは無能どころか極めて有能で、王族として恥じることなき実力があった。

当時は軍団長であったボーガンもその戦での功績によって、彼により将軍へと格上げされている。


それからしばらくはあの戦について。

既にある程度情報は手にしていたらしく、まるで戦場に同行していたかのようにその戦局がどのように推移したのかを知っていた。

ギルダンスタインの諜報網は他国の内側深くにまで及ぶ。

普通なら知り得ないことまで彼が知っていることは恐ろしくあるが、これに関してギルダンスタインに他意がある訳ではないことは知っている。


無類の戦好き――ボーガンを軍人として高く評価してくれているのは事実だろう。

ギルダンスタインはまるで子供のように戦場話を求めたし、彼のそのような一面自体はどうあれ、ボーガンにとっても好ましい部分であった。

悪名高い人間であったし、事実そうなのだろうと感じるが、単なる個人として付き合うならば不思議と嫌いにはなれない。


「――しかし二人の美姫か。噂は王宮にまで届いているぞ。随分と優秀だそうではないか」

「ありがたいことです。二人揃って私以上の才覚を持つと断言出来ます。いずれは必ず、王国の新たな柱となりましょう」

「それほどか。まぁ、お前が言うのであればそうなのだろう」


くく、と笑いワインを見つめた。


「悪かったな。いざこざで随分と中央は後手に回った。お前とガーカには負担を掛けたと感じる。……俺が今中央軍を率いることに難色を示すものが多くてな」


王位継承争い。

その中でその一派の長となるギルダンスタインが軍を持てば、武力による王位簒奪も容易となる。

懸念されるのは当然のことで、結果として中立派であった西の将軍ヒルキントスが軍を率いることになったのだった。

王国中枢に深く関わる中央の将軍も同様の理由で使えず、西のヒルキントスが来ることによって配置の変更や軍の掌握に手間取り――あれほどの苦境に立たされていた理由はそういう、単なる政治的都合。

何事もなくギルダンスタインが中央軍を率いていれば、ウルフェネイトも落とされていなかっただろう。

戦地で過ごすほど、政治の世界が疎ましく思えてくるのは仕方の無いことだった。


「まぁ、それはさておき、だ。今後の身の振り方を考えるためにも一つ教えておいてやる」

「……身の振り方、とは?」

「クレシェンタのことだ」


ギルダンスタインは笑って告げる。


「実際お前達がどう聞いているかは知らん。兄上が素行の悪い俺に王位を継がせることを嫌い、クレシェンタを指名した。まぁ、そんなところだろう。否定はせんし、事実としてはその通り」


ワインを傾け、笑みを浮かべたままギルダンスタインは告げる。


「それならそれで、俺は構わんとは思っていた」

「それは……王位を継がなくても良い、ということですか?」

「ああ、そういう意味だ。特に自己弁護がしたいわけじゃない。俺は事実として享楽を好む。若い頃は度が過ぎたこともやった。近頃は落ち着いたと言われているが、まぁやりつくして飽きただけだ。性根が変わったわけでもない」


ボーガンは感情を見せないが、表情は僅かに硬く。

ギルダンスタインはそれを見ておかしげに笑う。


「王国大公爵、その地位があれば俺には特に不満がない。その気になって出来ないことなどないからな。むしろくだらん雑事に振り回されることを思えば王位など損しかない。戦は好きだが、政治闘争の類は嫌いでな。王位が他へ渡ることについて特に不満はないのだ」


グラスを煽り、ワインを注ぐ。

そしてそれを揺らしながら続けた。


「ただ、相手が問題だ。クレシェンタを見たことがあるだろう。どう思う?」

「……幼いながらも聡明で、お美しい方だと」


赤に輝く金の髪――妖精のように美しい姫だった。

遠目にしか見たことはなく直接話したこともなかったが、堂々とした、しかし上品な佇まいはよく覚えている。

最後に見たのは九つの頃であったか――


「素晴らしい。その通り、聡明で美しい。人柄良く慈愛に溢れ、お転婆なところもあれど品性は良く――まさに生まれついての女王と言えるだろう。しかし、俺が懸念するのはあれが化け物だということだ」

「……それは」

「文字通りの意味だボーガン。奴隷を意味なく殺し合わせただの、貴族の娘を監禁したあと捨てただの、俺の噂話は聞いているだろう。確かに俺はそのように人を使って遊んだ。遊んだが故に、人というものをよく知る。……だから分かるのだ、化け物が」


机に線を引くように、指でなぞる。


「王家の歴史は長い。何度か滅びかけ、蘇り、その中では数々の名君と暗君が生まれた。そうした長い歴史は安定によって築かれる。生まれ持って奇矯な振る舞いを見せるものがいれば、忌み子としてそれを殺した。……本来はクレシェンタも、そうした一人でな」

「忌み子……」

「馬鹿馬鹿しい王家の風習だ。俺は下らないと思っていたが、兄上は堅物でな。それに倣おうとした。……兄上は不妊で悩んでいたこともあって、ようやく出来た念願の一人目の時は随分と判断に時間を掛けたが……結局放逐したことにしてその先で殺した」


ボーガンは眉をひそめた。


「産んだ愛妾は特に兄上が熱を入れていた相手だったからな、そういう工作が必要だったというわけだ。どちらにせよ生まれてからは会うことも出来ず、娘は半ば幽閉状態であったから、まぁそのほうが幸せと言えるのかもしれんが」

「……なんと」

「それからほどなく二人目を孕んだ。生まれたのは同じく忌み子であった」

「その、忌み子というのは、見ればわかるのですか……?」


同じく不妊で悩んだボーガンは、話に耐えられなくなり尋ねた。


「泣かぬ赤子だ。泣くも黙るも赤子の勝手だろうと俺は思っていたがな」

「泣かぬ赤子……」

「しかし杞憂だったということになり、その赤子は王女として育てられることになった。……くく、すぐに泣くことを覚えた、と言った方がいいな」


笑うが、ギルダンスタインの目に笑みはない。


「忌み子と聞かされた愛妾は産褥熱で死んだ。以前の娘のことがあったから、というのもあるだろう。兄上は悲しみにくれ、本当に忌み子なのかと何度も尋ねた。使用人達は忌み子を泣かせるために努力した。……結果として忌み子は泣くことを覚え、窮地を乗り切った」


祝いのため一度見に行ったのだ、とギルダンスタインは続ける。


「実に赤子らしい姿であった。癇癪を起こしたように泣く。忌み子と聞いていた俺は拍子抜けで、真っ当な赤子じゃないかと思ったが、俺には妙に気に掛かることがあってな。……目が違うのだ」

「目?」

「演技だよ、ボーガン。赤子の頃から、あれは演技が出来る。もっともその時は違和感を覚えただけで、気付いたのはしばらく後であったが」


理想的な王女であったとギルダンスタインは語り、ただ笑う。


「適度にわがままを言い、花を愛で、本を読み、お伽噺に憧れてみせる。特に優れた様子を見せず、かと言って人より劣る様子も見せない。しかしそれは全てあれの演技だ。あれは誰より頭が回り、ものが見えている。そして他人から自分がどう見られるかも知っている。周囲の望むままに振る舞っているに過ぎんのだ」

「お言葉ですが、その……」

「気のせいじゃないさ。俺にはわかる。その後に生まれた兄上の子はことごとく死んだ。死因は様々だがな。王宮では他にも不審な死が目立つようになり、俺も殺されかけた」

「……殿下が?」


驚くだろう、と言った。

やはり笑みは口元にだけ浮かび、その目は真剣だった。


「俺は女の横では寝ない。寝首を掻かれるからな」


あっさりと、何でもないことのように告げる。


「……その日は何があったか、俺は上機嫌で女を呼んだ。とっておきのワインを飲んでやろうと言う気分だったんだが、部屋に行けば既にそのワインとグラスが一つ用意されていた。果物とよく研がれたナイフも用意され、気の利いた使用人を後で褒めてやろうと考えた。……が、俺はその日不思議と女の横で寝入っていてな」

「……?」

「ワインかグラスには何か睡眠薬のようなものが盛られていたんだろう。鋭く研がれたナイフは俺を殺させるためのものだ。少なくとも女に殺す気があれば簡単に殺せる状況があったことは間違いない」


思い出すように目を細めた。

ギルダンスタインの顔に笑みはない。


「俺がその日に呼んだのは偶然、普通に可愛がっていた女であったから殺されなかっただけだ。他の女を呼んでいれば間違いなく俺は死んでいた。……恨まれている自覚はこれ以上ないほどあるからな」


しかし、とボーガンは言い、顎に手を当てた。


「それだけの理由で……?」

「わかるさ。使用人の誰もがそんなものはなかったと言った。屋敷にはたまたま、病気の療養をしていたクレシェンタが滞在していた。……胸騒ぎがして使用人に聞けば、その日の少し前、ワインを飲んでみたいとわがままを言ったクレシェンタを俺のワインセラーに案内したそうだ。ご丁寧に、これは殿下秘蔵のワインですから飲んではいけません、と紹介してくれたらしい」


ワインを眺め、王弟は続ける。


「……そこでようやく噛み合った。そういう風にしてクレシェンタは色々なことを思い通りにしてきたんだとな。自分は決して疑われることのない手段で、表情にも出さず、あれは自分が玉座を手に入れるために、そうやって邪魔者を消してきたんだ」


ギルダンスタインはワインの縁を撫でた。


「兄上の病もクレシェンタの仕業だろう。毒を盛られているのだ、原因不明の病とされているがな。クレシェンタを疑う奴はいない。兄上はあれを随分と可愛がっているし、そして周りの愚か者もそうだろう。気付いてすらいない」

「……ですが」

「まぁ、言葉だけでは信じまい。お前はそういう奴だからな。この話を聞かせてやったのは単なる、戦地での礼だ。今回のことへの褒美でもある」


怪訝な顔を浮かべたボーガンを見ながら、身の振り方を考えるに当たってと言っただろう、とギルダンスタインは続けた。


「俺につけとは言わん。お前は今後王国のため長く戦ってもらわねばならん男だからな。単に、今回起きている王宮での派閥闘争には加わるなと、そう言いたいだけだ」


ボーガンがそのような人間であるとは思っていまい。

わざわざそれを伝えに来たのはどういう訳か――ボーガンには分からなかった。


「私は……自分を、単なる剣であると考えております」

「それでいい。実際の所、あれがおかしいのは事実だが、稀代の名君となり得るのかもしれん。そうであった場合、単に俺は今まで通り、お前は王国の剣のまま。仮に俺が勝ってもまた同じくだ」


優美な顔に悪意のない笑みを浮かべ。

それからギルダンスタインはボーガンを真剣な目で見つめた。


「……同量の金があったとてお前の存在は購えぬ。俺が生きている限り、お前には下らんいざこざで命を落としてもらっては困るからな、肝に銘じておけ」

「……ありがたきお言葉です」


ギルダンスタインはワインを口付け、飲み干す。

新たに酒は注がなかった。

ボーガンもワインを飲み干す。終わりの合図であった。


用件を済ませればあっさりと帰る。

ギルダンスタインはそういう男で、その辺りはさっぱりとしていた。

そういうところはこの男の美点だとボーガンは素直に感じている。


「くれぐれも気を付けろ。クレシェンタは邪魔者には容赦がない。信じるかどうかはともかく、俺が言ったことを心に留めておけ。……見かけに騙されると足をすくわれる女だ」

「わざわざのお気遣い、痛み入ります」


ボーガンが立ち上がると深く頭を下げ、ギルダンスタインは手を振る。

外套をそのまま身につけると、ボーガンが先んじて扉を開けた。


そして玄関まで見送るため二人は廊下を歩き。

その途中で声が響いた。


「いいお湯でございましたね、クリシェ様」

「はい、とっても」


階段を上がってきたのは寄り添うようなクリシェとベリー。

薄いネグリジェの上からブランケットで体を隠し、ボーガンとギルダンスタインを見ると横に避けて頭を下げる。

ぴたりと揃えたような所作にボーガンは感心し、ギルダンスタインはブランケットから覗くベリーの胸元を楽しみ――そして、その隣にあるクリシェへと目を向けた。


「養女のクリシェと使用人のベリーです」

「なるほど、顔を上げるといい」


言われて二人は顔を上げた。

ベリーの谷間に好色なものを浮かべたにも関わらず、ギルダンスタインが見たのはクリシェであった。

クリシェはやや不思議そうな顔をしながら見返す。


「……養女。ボーガン、どこの娘だ?」

「カルカという北方の村の出身です」


ギルダンスタインは眉間に皺を寄せ、少し考え込むような仕草を見せた。

部屋に早く戻りたいクリシェはベリーを見上げ、そしてどたどたという音のする方へ目を向ける。

一階の風呂場の辺りから小走りに駆けてくるのは黒髪を後ろで纏めた使用人、アーネであった。


――これまで何一つ使用人らしきことができていない。

今度こそはと、二人の湯浴みを世話するため勇んで風呂場へ続いたのは良いものの、クリシェの入浴の世話は完全にベリーが行っていた。

ではベリーを、と思ったのだが、ベリーはベリーでクリシェがぴったりと寄り添い洗い始め――アーネが手を出す余地などなく。

アーネが右往左往している間に二人は湯を浴びて泡を洗い流してしまう。


ベリーは少し恥ずかしそうにしながらも、アーネ様も息抜きなされては、と気を使い、アーネはひとまず体を洗ったのであるが、タイミングが完全にズレてしまっていた。

二人が出る頃に体を洗い終わり、お湯に浸からないと体が温まらないですよとクリシェに言われそのまま入浴。

アーネが一息をつき、二人のイチャついたような(ような、ではない)洗いっこを思い出して頬を赤らめている内に、すっかり世話も忘れて入浴を満喫してしまい、慌ててアーネが出た時には二人ともすっかり着替えを終えていた。


苦笑するベリーは慌てなくて構いませんよとアーネに告げるが、そこは真面目なアーネ。

慌ててエプロンドレスに着替えると、髪から雫の落ちるような状態で駆けてきたのであった。


「こ、紅茶のご用意を、ぃたっ」


――そしてそのまま、盛大に床へ転び。

それを見ていた四人は固まった。


アーネはすぐさま跳ねるように立ち上がり、四人を見て叫ぶように「お、お見苦しいところをお見せ、お見せしましたっ」などと頭を下げる。

ベリーは苦笑し、クリシェはそんなベリーを見上げ、柔らかな微笑を浮かべた。


ギルダンスタインはクリシェのそんな表情を眺め、気のせいか、と呟く。


「聞いていたとおり美しい娘たちだ。お前の娘と使用人でなければ良かったが」

「……ご冗談を」


ベリーは僅かに硬直し、クリシェは眉をひそめた。

その様子を楽しげに見ながらギルダンスタインは笑う。


「忠誠は金では買えん。単なる冗談だ。真面目に受け取るな」

「……は」

「俺は帰るぞボーガン。もう一人の娘を見るのは式の楽しみとしておこう」


ギルダンスタインは歩きながら呆れたようにアーネを見て、傍らのボーガンに告げる。


「間抜けそうだが、ここの使用人が気にいらなければ適当に言え。代わりはすぐに来る」


アーネは固まった。

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