第19話

「…え?何だこのアイテム……」


 平日の昼下がり、休日を使いのんびりと倉庫やアイテムボックスを整理していて大助から困惑の声が上がった。


「…勇者の剣…初級の杖…安物の盾」


「…………」


(これってまさか…いやいや、そんなことが現実にあるわけが……あ)


 そこまで考えて、大助は自分自身が現在進行形でファンタジーに巻き込まれている事を思い出した。そう、それはありえない話ではない。


「つまり、どこぞの物語の主人公的なやつをあいつらブチ殺しちゃったんじゃないか?」


(それって結構マズい事になったりするんじゃ…)


「一応確認してみるか?」


 ラビのスマホにメッセージを送る大助


<ラビ。ひょっとしてそっちの世界に勇者を自称する異常者4人組が来たりしたか?>


<はい。奴隷やらチートやら意味不明な事を言いながら襲い掛かってきたので全員始末しました。骨などはクラリアが回収していきました。確認しますか?>


 4体の頭骨を前に無表情ダブルピースで決め顔をするクラリアの写真が送られてくる。


「やべえやべえ…」


 大助が大慌てで勇者関連と思われる商品を全て売り払う。


「俺は何も知らないし何も見ていない。よし。これで何の問題もないな」


 大助は全てを忘却した。



「さてと、そんじゃ新しい栽培リストを確認するか」


 大助が栽培メニューを開き、新しく栽培可能になったリストを確認する。そこには新たに3種類の植物が追加されていた。


・ドラゴン草


・毒草


・未来草


「なんかとんでもない名前の草があるな。ワクワクしてきたぜ…」

 

(どの草も強力な感じがするな。とりあえず1つずつ確認していこう)


・ドラゴン草


食べるとドラゴンのような力を使う事ができる。しかし効果時間は非常に短く、この草単体の力はそれ程強くはない。※使用者の練度によって効力は増減する。


「ほう。中々面白そうな草だな。しっかしドラゴンか」


(ドラゴンといえば、まあ最強の生物だよな)


「炎とか吹いてみたいよな~でもそんな事をこの部屋や近所でやったらあっという間に有名人になっちまうぜ」


(まあ要検証対象ってところかな。そのうち人気のない海にでも行って試すか)


・毒草(下級)


毒性を持った草。下級なので1/10程度の確率で状態異常を付与する。数多くの種類が存在している。※アプリで生成される毒草の種類は完全ランダムだから取り扱いには気を付けなさいよ。


「これはまあ、文字通り毒物の元になる草か」


(毒物って色々な使い道があるからな。一応栽培しておいて、使い道はクラリアと相談して考えるか)

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