第17話

<アホな後輩を送ったから教育を頼む>


 これこそが大助が考え出した究極のアイデア。「全てラビに任せよう作戦」だ。


(面倒な案件は全て部下に押し付ける。まったくブラック企業も真っ青な極悪振りだなぁ大助さんよぉ…!?)


 大助が内心で最高に気持ちよくなっていると、スマホにメッセージが通知された。


「お助けモンスター同士の決闘が要請されました。許可しますか?」


「…え?」


 慌てて画面を見るとラビとクラリアが一触即発の状態に突入していた。ラビが剣を抜きクラリアに突きつける。クラリアの体がおぞましい変化を始める。その映像を見た大助のテンションがさらに上がった。


「あっははははははははは!!マジかよぉ…!?こんなイベントもあるのか!!」


 大助の無邪気な笑い声が部屋に反響する。


 ___大助は善人でもなければ悪人でもない。


 ___彼にとって重要なのは1つだけ。それが面白いかどうかだけだ。


「ま、どちらかが死んでもそのときはそのときだ。決闘許可っと!さてさて、どうなることやら」


 大助はスマートフォンの画面を静かに落とした。



 翌日。仕事終わりの大助が自宅へと帰宅する。


「なんか最近、体が軽くなってきたような気がするんだよな~」


(なんだろう、こう、エネルギーが有り余ってるみたいな?)


「もしかして、これが「魔力」ってやつなんじゃないか?」


 大助がファイティングスタイルから軽くジャブを放つ。ジャブ。ジャブ。ストレート。彼は意識して力を込める。すると、確かに拳全体に何かのエネルギーを感じていた。


(青色のオーラのようなエネルギー。何かを掴んだような気がするな)


「うっし!まあこんなもんか」


 一通りの型の練習の後、体のストレッチ。食事へと移行する。大助は今日の昼飯はラーメンと決めていた。冷凍ラーメンと、ラルメン王国の雑草を取り出す。


「何というか、この意味のわからない苦さがラーメンに合うんだよ……」


 カチコチに固まった麺と具を電子レンジにぶち込み、温める。その間にフライパンを加熱しておくことも忘れない。手早くバターと醤油を使いラルメン王国の雑草を炒める。


「…ふふ。完成だ。名付けるならそう!雑草のバター炒めってとこかなぁ!?……なんか自分で言ってて悲しくなってきた」


 テーブルの上に完成したラーメンと雑草バター炒めを置く。最後にニクク王国の雑草から抽出したお茶を入れて完成だ。ズルズルと麺を啜り、大助が雑草バター炒めと共に食べる。


「…うん。普通に美味い」


 そのままモグモグと料理を食べていると、大助のスマートフォンに孤独の栽培人から通知が届いた。

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