~レヴィナの冒険~幼馴染モドキにポーションを炸裂させたらパーティーを追放されました~そして戦士として活躍しそうです~今日もビキニアーマーを着てモーニングスター片手に魔物を滅していきます☆

青崎アカネ

第1話 プロローグ

「頼むからぁ! レヴィナ! パーティーを抜けてくれ!」


うるさいなぁ、アタシに叫ぶな。

ここはアンベールドの街にあるギルド、その中のテーブルの1つに座ってるパーティーの一角の話。


アタシはレヴィナ・グランゼ、十六才になるポニーテールの赤髪の女の子。スタイルは……まぁまぁかな……胸も大きいし。

身長も低い方かも、くぅん。

偉大な冒険者になる予定のスーパーガール。


両親が言うには『お前は優しくて良い子だから冒険者の素質がある』と意味不明だけど、それを信じて幼馴染のギートと故郷のリカン村を出てアンベールドの街に来て、かれこれ半年が経とうとしている。


目の前の短髪の黒髪、生意気そうな顔した青年はパーティーのリーダーであり村の幼馴染のギート。

幼馴染と言っても小さい頃に何度か会ったくらいでアタシもうっすらとしか覚えてない。


コイツは村長の息子でチヤホヤされて育ったのか知らないけどプライドだけは高い男。

ギルドに着いて開口一番に彼に叫ばれた、悲痛めいた顔で実に意味がわからん。


「可哀想だけど私もそう思う……パーティーリーダーにあんなことするなんて仲が悪いにも程があるわ、さっさと抜けて別のパーティーに行った方が良いわね」


ギートの言葉にふてくされて居るアタシにギートの恋人兼PTの青髪ショートが似合う魔法使いことメイも気まずそうに同調している。


「お、おれも同意件だ……さすがにやりすぎだ、レヴィナ。 ギートの口の悪さは今に始まった事ではないだろう、このままではギートと殺し合いをやりかねん。彼女の即刻追放が好ましいだろうな」


あろうことかパーティーのタンクである筋肉マッチョマンの坊主、ロイまで恐る恐ると言った感じに意見してくる。アタシの味方は居ないのか、ますます険しい顔してギートを睨み付けてやる。


「だ、だからぁ無理なんだよ…大体なんで僧侶なのに回復魔法使えねーんだ!おかしいだろ!」 


「だからぁ……それを補ってポーションを配ってるじゃーん」


「あれは配ってるんじゃねぇ! 投げつけてるだけだろうが、ボケナス! 殺す気か!」


「チッ……」


そっぽを向いて乾いた舌打ちをかましてしまった。

そう、なぜかアタシは昔から回復魔法が使えない、いや他の攻撃やら補助的な魔法は使えるんだけどね。


痛いところを付かれるもめげないアタシ、悪魔的な打開策でこのパーティーを支えてきたんだよなぁ。

元々は戦士だったんだけどね、ギートが試しにやってみろっ言うからさ、やったのに。


スッゴく頑張ったんだけどさ……全然見込みなかったみたいだよ、トホホ。


それなのにこの三人ときたら、ちょっとアタシが回復魔法使えないからってパーティーから追い出そうなんて残酷過ぎる、人間のすることかよ。


ちゃーんとパーティー全員にポーションを配ってる、そして今日ギートには我慢の限界を通り越してしまい、思いっきりポーションをブン投げてやった。


ギートはアタシが回復魔法使えないのを散々バカにしてくるからね、アタシが神に変わって天罰と言う名の祝福をあげてやったのさ。


当たりどころが悪いとポーションの瓶の破片が刺さった状態でケガしてる部分が治るから怖い。

他のみんなにはポーションの蓋を開けて口に突っ込んだり傷の患部にぶっかけてあげたりと相手に合わせて回復を行う、実に聖女スタイルでございます。


ポーションは飲んでよし、傷口にかけてよしの二段構え。外傷ならば傷口にかける毒などの体内ダメージなら口から飲む、それを見極めて瞬時に対応してるんだけどな。


ギートの顔面にポーションが炸裂して、顔面血まみれで喰って掛かってきたのは恐怖だったなぁ。新しいモンスターの誕生かと思ったくらい。


それに今日も街の外にあるダンジョンに潜って金貨や宝箱をそれなりに獲得してきたんだよね。

こう見えてアタシ達のパーティーは順調にいってる気がしてる、ランクはなんだっけなぁ。


アタシも、もちろんポーションをブン投げるだけじゃない。ダンジョンでゲットした、このメイスと店売りの皮の小盾で悪いモンスターをボコボコにしてやってる。

ヒーラーも出来てアタッカーも務めるとか、どこの英雄だよって話。


最近はメイス使いに磨きがかかっちゃってて、もー大変、前衛より火力出てるもん。

さっきも剣士のギートより前に出ちゃってメイスで無双してきたところだよ。


ギートはアタシに出番を取られるのが嫌で『でしゃばるな、無能』と煽ってきて、ますますヒートアップ。


そんでこの雰囲気じゃもう限界だよね、しゃーないアタシが一肌脱いでやるか。


「はいはい、わかったよ……パーティーを抜ければいいんでしょ?」


「そ、そうだ!わかればいいんだ…ふぅ」


ギートのあの顔、まるで大勢の人の命が助かって安心しちゃってるって顔してさ。大袈裟なんだよね、もっと悲しい顔して美少女が去ることを悲しめよ。


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