お姫様せるふぃっしゅ。(全編)

猫野 尻尾

第1話:わらわは胡桃姫(くるみひめ)じゃ。

タイムスリップとか武家のお姫様の話とか、もうすでに出回ってるテーマでは

ありますが、あえてそこに踏み込んでみました。

ってことで、もう第何弾かも分からなくなってしまってる異世界からやって

きた女の子シリーズです。


ちなみにタイトルの「せるふぃっしゅ」ってのは自分のことしか考えない、利己的な、自分勝手な、自己中心的な、わがままな、身勝手な、自分本位な、とかって

意味らしいです。


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まず俺の名前からね。

俺の名前は「真田 幸太郎さなだ こうたろう」現役大学生、20才。

親元を離れて上京・・・バイトをしながら今は賃貸マンションにひとり暮らし。


なんとなくダルかったので今日は大学を休むことにした。

でもって昼過ぎまで寝てて昼過ぎに起きて・・・昼飯も食わないままソファーにもたれて、ポテチなんか食いながら、なんとかナンデスなんて昼の番組見てたんだ。


そしたら俺の前の小ぶりのテーブルとテレビの間になにやらピンク色のま〜るい

物体がいきなりポンって現れた。


その球体は部屋中にバリバリ放電を放って、シューシュー音を立てていた。

そうそうターミネーターのあれみたいに・・・。


俺は逃げるわけでもなく、そいつの正体が知りたくて、しばらく離れた位置で

観察していた。

すると丸いやつがスーッと泡みたいに消えたと思ったらそこに誰かが座っていた。


それは?・・・それはまるで江戸時代なんかでよく見るお姫様?みたい。


「あはは・・・まさかな・・・俺まだ寝てて夢見てるのか?」


お姫様みたいなそれは、ちょこんと正座して周りをキョロキョロ見てから

俺の方を見て言った。


「ここは?どこじゃ?」


「あ、しゃべった・・・夢じゃないんだ」


その子は、お姫様みたいな子は、髪を結い上げていて髪飾りや花飾りを

いっぱいつけてて、いかにも高そうで豪華な着物を来ていた。

見方によれば、ちょっと遠慮しがちの吉原の花魁さん・・・みたいな。


この時は俺は知らなかったけどお姫様のような髪型、おくれ毛を垂らしたような

髪型は、「吹輪ふきわ」って呼ばれてるんだそうだ。

で、頭の上には「姫挿し」と呼ばれる大きな花のかんざしを載せるんだって。

江戸時代の初期から武家のお姫様が結った髪型らしい。


俺の時代でこんな髪型結える美容師なんかいるのか?


まあ、とにかくどこからか俺の家に来ちゃったんだからしかたない。

豪華な髪型に豪華な着物・・・その派手さに負けてない可愛い顔。

(ラブコメではだいたい可愛いってパターンが定番)

俺は一目見て惚れた。(それも定番)

歳の頃なら、俺とさして変わらなそうか、または歳下、たぶん歳下、かなり歳下。


「君だれ、どこから現れたの?」


「ここはそなたの家か?」


「そうですけど・・・」


「この家は元、わらわの屋敷があった場所じゃ」


「君?いつの時代の人?」


「わらわは遠い昔からやってきたのじゃ」


「え?遠い昔って?江戸時代とか?」


「まあ、そのようなモノじゃの」

「では、訳が分からずボヘッとしてる、そなたのために説明してやろうかの」

「わらわの名前は「前田藩、前田 慶臣まえだ よしおみが長女、前田 ともえであるぞよ」

「巴という名前は通常表には出さぬゆえ、表向きの名前は胡桃じゃ」

「だから、今後わらわのことを呼ぶときは胡桃姫と呼ぶがよい」


「はあ、どうもこんにちは・・・前田 胡桃姫さん」


「俺は、真田 幸太郎さなだ こたろうって言います」


そう言って俺はメモに俺の名前を漢字で書いて胡桃姫に見せた。


「幸太郎・・・・なかなかよい名じゃの」

「では幸太郎・・・わらわの家来に「平賀 源右衛門」という発明家がおっての」

「そやつが未来と過去に行けるって言う「からくり箱」を発明したのじゃ」


「か・・・からくり箱?・・・タイムマシンのことか・・・」


「タイムマシン?・・・それはなんじゃ?」


つづく。


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