第34話 パンケーキ
12月24日になった。
道の凍った街は装飾され、ツリーがいたる所にある。
雪は無いが、しゃーない。
アンタレスは市街地で、アントニオとロッシュに向けたクリスマスプレゼントを買おうとしていた。
「(せめて昨日買いに行くべきだったな。
あの2人は何が欲しいんだっけ……)」
彼女はデパートを出入りして、ひたすら物を探す。
アントニオが欲しいものは、和包丁である。
そしてロッシュは、人生ゲームだ。
「(でも昨日買ってたら、バレたかもしれないしなぁ。
やっぱ今日で良かったな。ついでになんか食べ物買ってこよう)」
なんとか人生ゲームを手に入れたアンタレスは、スーパーで料理を探す。
「…………いや、アントニオに作ってもらo……いや、やっぱ良いや」
スーパーでは未だにアンタレスの目撃情報を求める紙が貼られているが、彼女はそんな事お構いなしに、食材を探す。
目の前で探している者がいる事に、紙を設置した人と紙そのものは考えるはずもない。
「あら〜案田さんじゃない」
「あ、
アンタレスの近所の林という人が声をかけてきた。
すっかりここ2年で仲良くなったらしい。
「どう?アントニオくんとロッシュちゃんは」
↑林
「元気ですよ。あなたのお子さんと仲良くさせてもらってます」
↑アンタレス
「あぁ、内の子も2人と会ってからすっかり元気になったよ。
そういやこの紙!最近アンタレスの情報がぱっと途絶えちゃったんだってね〜」
「はい、まだこの辺に潜んでいるらしいですが、怖いですよねぇ〜」
「そうだよねぇ〜」
「そうだ、クリスマスツリーってもう飾ざりました?」
「うん。ニトリで買ってきたよ」
世間の人にとっては当たり前とも言えないほど当たり前な世間話をし、アンタレスは家に帰る。
そして家の中は、装飾されていた。
壁にはクリスマスのポスターが貼られており、なんかちょっと照明が暗くなっている。
「ん?何これ」
「あ、アンタレスさんお帰りなさい!
めちゃくちゃ装飾したんで見てくださいよ!」
ロッシュがはしゃぎながら、ぽけーっとしているアンタレスに向かって走ってきた。
アントニオが叫ぶ。
「料理できたから はよ、皿に盛れ!」
「「へい」」
「はい……な?」
「「へい」」
ステーキやサラダ、チーズフォンデュがテーブルに並べられ、いかにもクリスマスっぽくなってきた。
そして、奥の方にパンケーキが置かれる。特に何もトッピングされていない味無しパンケーキだ。
「え、パンケーキ?」
↑アンタレス
↓アントニオ
「ん、なんか急に作りたくなってね」
「あーそう…」
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