第11話 現実を構成する者たち
アントニオは若干、ビクビクしながら家路を急いだ。
後ろから誰かが追いかけてくる!
「(くっ、なんで俺が逃げる側なんだよッッ!
お前が怯えて逃げろ!!」
とうとう彼は我慢ならず、体から生やした包丁を、そのストーカーに向けて振る!!
ブシャァァァァァァァ
「ひィィィィィィ!!」
背後にいたストーカーと思われる者は、現実と書かれた お面を被った球体だった。
彼は…現実くん である。
彼の口元に切り傷がつく!アントニオは怒鳴った。
「誰だお前はァァァァァァァァァ!」
「ば、バレたァァァァァァァァァ!
なんか鋭糸くん と同じ魔力を感じたから追いかけてみたら、誰⁉︎あなたは誰⁉︎⁉︎」
「鋭糸?俺はアントニオだ!」
「アントニオ⁉︎…誰⁉︎知らない…さ、さよなr」
現実くんが後退りするが、アントニオがすぐさま背後から現れ、彼を発狂させる。
「ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ⁉︎は、速い!
もうやだァァ、助けて!見逃して!」
「お前、俺のストーカーをしておいて見逃せとはなんだよ。
お前の生存ルートを見逃してやるさ」
「え、それっt」
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
彼はアントニオの包丁で切られてしまった!
胴体が真っ二つになり、心臓が吹き飛ぶ!
「ひゃァァァァァァァァァ、やられたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…
彼の絶叫が、耳に響いた。
「うっさ………ん?」
胴体はその場に直立したままだが、頭は回転しながら吹っ飛んでいる。
割れた現実くんの2つの肉片のうちの、頭の方が、少し変形した。
胴体も少し色が変わってきて、何か生えてきている。
「お?」
やがて頭の方の肉片が変形し、変色すると、手足が生えてきた!
胴体の方からも、新しい頭が生えてくる。
「ん、増えた?」
変形した頭の方が着地すると、なんと手から爆弾を生み出して、アントニオに向けて投げてきた!!
「は⁉︎」
ズドカァァァァァァァァァァァァァァン
一瞬にして、辺りの家が倒壊したが、幸い人はいなかったらしい。
しかしアントニオの顔は半分抉れた。
「く、クソ。なんだよ今のは!」
「俺だよ」
「⁉︎」
先ほどの、現実くんとは思えないほどの高い声が、アントニオの耳へ入ってくる。
そして、目の前の
体色も元の灰色ではなく橙。そして驚くべき事に、彼らは2人いたのだ!
「あー面白い。テンション上がるわ。
なぁ?激怒くん」
激怒くんと呼ばれたそいつは、口を開く。
「何が面白い…俺は今腹が立っているんだ!
昨日、1時間も眠れなかった。ストレスでどうにかなりそうだ」
「まぁまぁ、その分昼に仕事して夜は早く帰ろうとしてんじゃん。今日はゆっくり寝れそうだよ」
「だと良いがな」
「(何こいつら)」
↑アントニオ
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