第5話 目覚め

 軍の機銃は、家の壁を紙切れのように貫く。住民は身を低くして嵐が過ぎるのを待つ。

 そんな中、アウレールは家を飛び出す。父親が連れ戻そうとするが機銃掃射が邪魔をする。

 彼は丘を目指す。丘は自走砲が砲撃を続けている。砲撃でも彼の足を止めることはできない。

 アウレールは何とか砲撃を逃れ、フレイムランドのロボットのコックピットに乗り込む。彼はこのままではこのエリアが消えてしまうと思って行動している。

 彼は、祈るようにして、起動スイッチと思われるボタンを押す。彼を静寂が包む。その中にわずかな振動と共に音が聞こえる。

 フィ、フィ、フィ、フィーン、フィーン、フィーーン、フィーーーン

 ロボットは鼓動を始める。アウレールは「やった!動いたぞー、あははー」思わず口に出して喜ぶ。

 ロボットの内部では魔術式が読み込まれ、起動シークエンスが進められている。開け放していたハッチが閉じ、スクリーンが外の映像を映し出す。

 そして「ワルカ・オールセット」と表示される。ワルカはパイロットの手足の動きをセンサーで感知して動く。しかし、訓練もなしで自由に動かせられるものではない。

 アウレールはワルカを立ち上がらせようとする。丘の斜面が盛り上がり土砂が崩れ落ちてワルカが地表に姿を現す。

 軍の装甲車がワルカに気づき機銃掃射でワルカを狙う。数発がワルカに当たるがびくともしない。アウレールは右手で岩を掴み装甲車に向かって投げる。

 岩は装甲車の近くに落ち、装甲車を下がらせる。

 アウレールはそのまま立とうとする。ワルカは立った瞬間、バランスを崩して前のめりに倒れる。アウレールは起き上がろうとするがうまくいかない。立とうとするたびにバランスを崩して倒れるのだ。

 彼はコックピットの中であがく。

 「立て、立ってくれ、頼む、みんな殺されてしまうよ。立て、立て、立て、立て、立て・・・」

アウレールは必死にあがき、集中し続ける。

 「立て、立て、立て、立て、立て・・・」

ワルカには普段は使われない機能がある。実装されているが使いこなせるものがいないのである。今その機能が彼の思いに呼応する。

 ワルカは脳波コントロールで動き出す。ワルカは突然、アウレールの思い通り立ち上がる。彼は装甲車を追いかけ捕まえると自走砲に投げつける。

 装甲車と自走砲は大破する。アウレールは思わず叫ぶ。

 「やったぞ!」

そして、彼が安堵するとワルカも脳波コントロールは停止して、バランスを崩してあおむけに倒れる。

 自警団員たちがワルカに集まってくる。そしてアウレールがコックピットから顔を出す。

 自警団から歓声が上がる。しかし、ブルーノはアウレールを戦いに巻き込むことになると頭を痛める。

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