再生の星のアウレール

ぽとりひょん

第1話 新人類国家

 砲撃から逃げるようにコックピットに乗り込む。このロボットは誰にも動かすことが出来なかった。しかし、今このロボットを使わないとエリアが消えるかもしれない。

 アウレールは、「動け!」と祈るようにして、起動スイッチと思われるボタンを押す。彼を静寂が包む。その中にわずかな振動と共に音が聞こえる。

 シュイン、シュイン、シーン、シーン・・・

 ロボットは鼓動を始める。アウレールは「やった!動いたぞー、あははー」思わず口に出して喜ぶ。

 この時、アウレールには分からないが、魔術式が読み込まれ、起動シークエンスが進められている。開け放していたハッチが閉じ、スクリーンが外の映像を映し出す。

 そして「ワルカ・オールセット」と表示される。ワルカはパイロットの手足の動きをセンサーで感知して動く。しかし、訓練もなしで自由に動かせられるものではない。

 アウレールはワルカを立ち上がらせようとする。丘の斜面が盛り上がり土砂が崩れ落ちてワルカが地表に姿を現す。

 敵の装甲車の機関砲がワルカを狙う。数発がワルカに当たるがびくともしない。アウレールは右手で岩を掴み装甲車に向かって投げる。

 岩は装甲車の近くに落ち、装甲車を下がらせる。

 ワルカは立った瞬間、バランスを崩して前のめりに倒れる。アウレールは起き上がろうとするがうまくいかない。立とうとするたびにバランスを崩して倒れるのだ。

 これではただの的である。彼はコックピットの中であがく。

 「立て、立ってくれ、頼む、みんな殺されてしまうよ。立て、立て、立て、立て、立て・・・」

アウレールは必死にあがき、集中し続ける。

 「立て、立て、立て、立て、立て・・・」


 地球は、ムーラーの襲来によって、文明はおろか、すべての生物が滅んでいる。ムーラーは全ての有機物を捕食して地球を去って行った。

 地球には、位相空間と異世界の星を領土とするフレイムランドという国がある。この国はムーラーが襲来した時、それと戦い、人類のうちわずかであるが迎え入れ、人類の滅亡を救っている。

 さらにムーラーが去った地球に技術供与して、地球に戻ることを願う人々が都市を復活する手助けをして、地球に新たな国家、アースランドが建国される。

 アースランドはその年を新世紀1年つまりNC1年とした。人類は都市を復活させ、その周囲に食料や物資を生産するエリア作って行く。

 各都市が復活して、都市は数十のエリアを持つようになる。都市間の交通も空路と航路が整備され流通が盛んになってきている。

 陸路は荒れ果てた立ちが広がり道路が整備されていない。

 都市には自警団があったが、警察と軍に分かれる。アースランド軍は統一された組織とは言えなかった。各都市の軍の司令官が力を持ち、都市ごとで行動が違っていた。

 そこでNC100年アースランドは、フィクサーという組織を発足させる。フィクサーは人型兵器ガントとマグニを主戦力とする。

 ガントとマグニは、旧世界でシャドウズという組織が使っていたものでそれを発掘して使用している。まだ、人類に人型兵器を作る技術が無いのである。

 通常のアースランド軍は、機銃を装備した軍用車が主流で航空戦力も軍用ヘリが主流になっている。また、独自にガントやパワードスーツに近いウォーカーを発掘して使用している軍もある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る