勇者の生首と魔王の生首
ハクセキレイ
第1話 むかしむかし
1
昔々、魔族と人間が争っていました。
それはお互いがお互いを殺し合い、血で血を洗う
人間たちは、このまま勝ったとしても、人間の国は滅んでしまうと考えました。
そこで人間の中で強い人間を集めて、魔王の討伐を命じました。
彼らは勇者と呼ばれ、国に対する忠誠心と正義感で、過酷な旅を続け戦いぬきました。
しかし長い旅の間、たくさんの勇者たちは次々と倒れていきました。
そして魔王のもとにたどり着くころには、勇者は一人になってしまいました。
しかし最後の勇者は勇気を振り絞り、魔王に挑みました。
その戦いは
その戦いを見た人間と魔族は、自らの過ちに気づき、戦争をやめて平和に暮らしましたとさ。
2
「事実とを捻じ曲げられて伝わっているようだな」
「くそ。適当なこと書きやがって。なにが過ちだ」
二人の男の声が聞こえる。
しかし、その場所に人間の姿はない。
あるのは二つの生首と、その間に古びた絵本があるだけだ。
「勇者よ。我々が封印されている間に時代は変わったようだな」
「ふん。俺を生贄にして魔王を封印したくせに。都合のいいやつらだ」
彼らは勇者と魔王のなれの果てである。
封印で閉じ込められてから、長い時間がたち、体が朽ち果ててしまったのだ。
しかし、どういうわけか首だけは朽ちることなく動くことができた。
「我が作り出した使い魔に捜索させたが、ずいぶん昔にこの辺りは放棄されているらしい」
「そうだろうな。でなけりゃ封印が解けたりはしない」
彼らにに施された封印はすでに解けていた。
どんな強力な封印も、維持しなければいつかは解ける。
「で、勇者よ。どうする?」
「どうするとは?」
「分かっているだろう。世界を滅ぼさないか」
「は!勇者にそれを言うかね」
「裏切られたのであろう」
「確かにな。それに今の俺は人間というより魔物だからな」
勇者は考える。
「そうだな。いったん保留だ。世界を旅をしてツマらない世界だったら滅ぼす。面白そうだったら世界を支配する。どうだ?」
「それはいい。破壊するだけが悪道ではない」
「お前はどうする?一緒にくりゃ世界の半分をやるよ」
「くくく。我よりよっぽど魔王らしいわ。面白い、お前についていくことにしよう」
3
こうして勇者と魔王は、世界を混乱に陥れるため手を組んだ。
この二人の生首の復讐の果てに何があるのか
それはまだ誰にも分からないのであった
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